原作設定(補完)
□その14
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目も合わせない土方に、銀時は小さくため息をついて問いかけた。
「なんで夜出てこねーの?」
「……てめーには関係ねー」
「あるから言ってるんですぅ。銀さんもうパーンってなりそうなんですけど」
ふざけた口調でそう言った銀時に、土方は手のひらをぎゅっと固く握りしめた。
「どこへでも行けよ」
「んな金はねぇ!!」
「……いばんなマダオ……他にも誰か居るだろうが」
「んー。誰でもいいなら土方がいいんだけど」
「……なんでだよ」
掠れるような声で絞り出した土方の問いに、銀時は戸惑いが晴れていくのを感じた。
“なんで”
初めて一緒に酒を飲んだときから、少しずつ少しずつ蓄積されていたはずのモノ。
“土方がいい”
とっくに出していた自分の気持ちに銀時はにやりと笑い、そっぽを向いていて油断している土方の身体を抱き締めた。
「なんでって…お前のこと好きだからだ」
驚いて強張らせた土方の身体は熱く、それを感じてようやく気付いた土方の想い。
土方も“なんで”銀時とのこんな関係を続けてきたのか。
「お前も、俺のこと好きなんだよな?」
「……っ……」
震えて今にも逃げ出してしまいそうな身体をしっかりと抱き、銀時はさらに問いかける。
「もしかして最初から?」
「………じゃなかったら誰が男なんかとっ」
初めて銀時と一緒に酒を飲んだときには、仲良くなって少し近づければという気持ちでしかなかった。
それがあんなことになって、銀時の興味を自分に向けることが出来るならと、土方は男のプライドを捨ててきた。
だけどあの日、初めて口付けられて抱き締められたとき、銀時から身体以外のモノを求められたようで嬉しくて、そして怖くなった。
自分はどんどん好きになっているのに、銀時はいつでも自分を捨てることが出来るから。そういう関係でしかないことが怖くて先に逃げた。
だけど銀時は追いかけてきて抱き締めてくれている。
「……ヤリてーためだけの嘘だったらぶっ殺すからな」
「うわ、こえー」
物騒なことを言いながら抱き締め返してくる土方に、銀時は嬉しそうに笑う。
土方がずっと一人で悩み悲しい思いをしてきた分、これから超優しくしてやろうと誓うのだった。
おわり
酔った勢い、土方がほうが好き……を、銀さん目線で書いてみました。
書いてるうちに、エロいシーンを書きそうになるのをぐっと我慢したんですよ(笑)
私の頭の中ではごっさイチャイチャしてるんですけどねっ。
……こういうパターンは多いのでカブってないといいんですが……
140話もあると自分でも全部は覚えてなかったりして(笑)