原作設定(補完)
□その14
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全員戻すのに30分ほどかかってしまったが、なんとか真選組の危機は回避できたようだ。
外部に漏れるまえにさっさと撤収してしまおうとしたとき、
「まだいるアル」
神楽がそう言って指差した先には、ホールの隅をこそこそ歩いている数匹の猫。
「あ?全員戻ってんだから、そんなはずは……」
言いかけて、あの場に居た連中のことに気付く。そう、真選組を罠にかけたものの騙された薬品を使用したマヌケな攘夷志士たちは、土方がホールを閉鎖するため全ての出入り口を塞いでしまったことで脱出できず、一緒に猫になってしまっていたのだ。
近藤と隊士たちの目が光る。
「確保ぉぉおおお!!」
一斉に猫を追いかける隊士たちを見て、土方はホッとしたように笑う。全員が無事で良かった。
そして、全然無事じゃない様子の銀時を見た。
床に座ってそっぽを向いている銀時に近寄ると、素直に礼を口にする。
「……万事屋、助かった。ありがとう」
「どういたしましてぇぇ」
まだ拗ねている銀時に、土方はあたりをチラッと見てみんなが猫捕獲に向かっているのを確認するともふもふの頭を撫でてやった。
土方が銀時のことをどう思っているのか、こんなことで証明しないと分からないなんてバカワイイ、と思うと撫でてやりたくなったのだ。
銀時はその手を振り払い、そのまま土方を抱き締める。そして呟いた一言に、銀時が拗ねている本当の理由を知った。
「……油断してんじゃねーよ。あいつらが馬鹿じゃなかったらどうなってたと思ってんだ……」
あのとき、閉じ込められたホールで正体不明の薬物を吸い込んだとき、薄れていく意識の中で死を覚悟した。
いろんなことが走馬灯のように頭を巡り、そして銀時の姿を思い浮かべたまま意識をなくした。
目が覚めたら猫になっていてパニックに陥っていたため忘れていたが、生きているという事実。
銀時はそれを想像してしまい、悲しくてイラついて不機嫌になっていたようだ。
土方もそっと銀時を抱き返し、
「……ごめん……」
そう呟くと、答える変わりに銀時が強く抱き返してくる。
“生きているからまた銀時とこうしていることができるし、楽しいこともムカつくことも……………”
感慨に浸っていたはずの土方は、両手を握りこぶしにして指の節を銀時の両方のこめかみに当てると、ギリギリギリギリと思いきり力を込めた。
「いだだだだだだっ!!!なっ、おまっ……」
「てめー、よくもみんなの前でとんでもねー話をしてくれたなぁぁ!!」
土方(猫)をおびき寄せるために銀時が暴露した話に、思い出し激怒したらしい土方の声は低く、顔は本気で怖かった。
「いや、あれはっ、土方くんが素直に出てこねーから仕方なく……」
「これからあいつらに微妙な目で見られたらどうしたらいいんだコラァ!」
「開き直って銀さんとイチャイチャするしか……いだだだだだだぁぁぁああ!!!」
二人の関係(とくに土方の気持ち)がみんなにばれてそこだけちょっと進展した、“真選組一大事”の日でした。
おわり
始めは犬にしてそれぞれイメージの犬を決めようかと思ってたんですが、
私は無類の猫好きだし、猫でいいやと(笑)
いろいろお約束な設定ばかりで普通の話になってしまいましたが、
二人がイチャイチャしてくれれば嬉しいので満足です。