原作設定(補完)

□その14
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#133

作成:2015/10/06




「土方さん、こんにちは」

見回りの途中、休憩だと言って団子屋に入った沖田を待っていると、両手に荷物を抱えた新八に挨拶された土方。

神楽のほうは素通りで団子屋に入って行ったが、当然沖田と遭遇しているわけで中からギャーギャーと騒ぎ声が聞える。

いつものことなのでそっちは無視し、

「すげー荷物だな」

いつも金欠の万事屋にしては豪快な買い物の仕方だと思いながら聞いてみた。

「今年はお登勢さんがスポンサーなので豪華なんです」

新八は嬉しそうにそう答えたが、土方が“意味が分からない”という顔をしているので追加説明もしれくれた。

「今日は銀さんの誕生日なんですよ。だから下の店でパーティーをやることになって、その買出しなんです」

「……誕生日…………あったんだな、あいつにも」

「あはは。10月10日なんてごっさ覚えやすいですからね、毎年祝えってうるさくて」

そう言いながらも楽しそうな新八に、土方は聞えないぐらいの声で呟く。

「…俺は言われてねー…」

「え?」

「新八ぃ、金払うアル!」

「あ、はいはいっ」

店内から神楽が大声で呼んだために新八は中へ入っていった。どうやら銀時の好きなものを並べてやるつもりなのだろう。

替わりに神楽が袋をガサガサ鳴らしながら、団子をくわえた沖田と並び険悪な雰囲気で出てきた。

「土方さ〜ん、こいつら真昼間から旦那の誕生日祝いをやる気ですぜ。近所迷惑になってねーか取締りに行きやせんか?」

「………お前、参加したいだけだろうが」

「お前らなんかまぜてやらねーアル。サボってないで働け、税金泥棒ども」

「だったら夜にガキどもの行けない店に旦那と行ってやるよ」

「お前だって未成年(ガキ)だろうが」

「残念だったアルな。銀ちゃん、夜はおっさん同士で飲み会ネ」

二人が暴れ出す一歩手前のところで団子屋から出てきた新八が、

「神楽ちゃん、早く帰らないと準備遅れちゃうよ」

と説得して、二人は急いで帰って行った。

食べ終わった団子の串を店先のゴミ箱に放り投げた沖田が、訳知り顔でからかうように土方に話しかける。

「旦那は今夜飲みに行くそうですぜ。土方さんも夕方から非番でしたよね〜。一緒に旦那を探しに行きやせんか?」

「………てめーは非番じゃねーだろーが」

「ちぇっ」

土方が不機嫌なのが嬉しい沖田はそれ以上何も言わなかった。




深夜、ホテルの一室で、土方は時計をチラリと見た。23時過ぎ。

銀時はいつもどおり、終わったあと満足そうに土方を抱き締めていた。

何も言わず、言われず、日付が変わる。

言わない理由なんてつまらないことだ。今更照れくさいとか、仕事で会えなくなったときに気にするかもしれないとか。

分かってはいるが、ガキ共には祝わせておいて自分が蚊帳の外だったのが、少し寂しい。

「土方くん……そろそろ時間じゃね」

「……ん……」

いつも日付が変わる前に帰ってしまう土方にそう言うが、銀時はぎゅっと抱き締めた腕を緩めない。

「は〜な〜せ〜っ!」と抵抗する土方と戯れるまでがセットだからだ。

だが今日は土方が動こうとしない。

「?……ひじ…」

「……今日は泊まってく」

「!?……まじでかっ」

「…昼まで…非番だからな」

そう言って土方が身体を寄せてきた。

驚いたし、嬉しいし、超可愛いと思うのだが、今までそんなことが一度もなかったので、銀時はちょっと躊躇う。

『なんで今日に限ってそんなこと……今日だから?』

抱き締め直した腕の中の土方に問いかけた。

「……今日…なんの日か知ってる?」

「あ?なんの日だよ」

「……体育の日」

「それ月曜日だろうが」

「だよね」

素直に答えてくれなかったが、何の日か分かってて誤魔化しているんだということは分かった。

銀時は嬉しそうに笑って思い切り抱き締めてやった。

土方もそれに答えて背中に腕を回してきたので、一旦落ち着いたはずのムラムラが湧き上がってきてしまい、ダメモトでおねだりしてみる。

「えっと……んじゃ……もっかい、いい?」

「……寝るだけじゃ金のムダだしな」

土方は仕方ないなという口調で、銀時が一番嬉しいプレゼントをくれるのだった。



 おわり




後半は超イチャイチャだったでしょ。ふふふん(偉そう)。
なんかもっと違う感じの話だったような気がしないでもないですが、
だいぶ前に考えたネタだったのでこの程度の肉付けしかできませんでしたよ。
(うちの)銀さん、ヘタレで可愛いなぁ(笑)

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