原作設定(補完)
□その13
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#124 2015/09/06
「はぁい、万事屋銀ちゃ……あ?どした?」
夕方の万事屋。相変わらず暇を持て余していた新八は、電話のベルに目を輝かせ、銀時の様子からがっくりと肩を落とす。
表情が変わった銀時に、相手が誰なのか簡単に想像がつくからだ。
「……今日?」
銀時がそう呟いてソファに座っている神楽をチラリと見ると、それに気付いた神楽がサッと酢昆布の箱を取り出した。
指で“OK”のサインを作ったことで交渉が成立したらしい。
「うちでいいよ。…うん、分かった」
電話を切ってから、銀時は嬉しいのを誤魔化すように顔を反らして頭を掻く。
仕事の依頼じゃなかったのは残念だけれど、銀時のそんな嬉しそうな顔を見るのも久し振りだし許してやろうと思う新八だった。
ソファでジャンプを読んでいた銀時は、チャイムも掛け声もなしに開いた玄関扉に顔を上げる。
律儀に鍵を閉め中に入ってきた土方は隊服姿だった。
「真っ直ぐ来たのか?」
「ん」
電話で仕事中らしいことは分かっていたが、いつも私服に着替えてから来るので珍しかった。
部屋に入るまでに脱いだ上着を向かいのソファにひっかけ、スカーフを外しながら答えた土方は、いつものように銀時の横に座る……と思いきや、銀時とテーブルの狭い間に入り込むとするりと肩に手を伸ばしてくる。
口には出さなくても目が語っていた。
『あ、発情中だ(笑)』
瞬時にそれを察した銀時が手を腰に回すと、土方はちょっと恥ずかしそうに躊躇ってから身体を寄せるとそのまま唇を重ねた。
土方から積極的に絡めてくる舌を受け止めながら細い腰に手のひらを這わせると、銀時の首に回した指先に力が入る。
我慢できないと擦り寄ってくる土方に銀時が焦らすようなことを言うと、
「風呂は?」
「いい……はやくっ…」
眉を寄せて睨み、切なげに求める声を出すから、銀時は嬉しそうに笑って土方を抱き寄せる。
「……ん………ふっ……」
ソファに横たえた土方の身体に触れるたびに、気持ちとは裏腹に抑えた声を上げる土方。
まだ服の上からなのに敏感に返ってくる反応は、銀時を喜ばせるだけだった。
はだけたシャツから肩口に顔を埋めて、銀時はふと気が付く。
そのまま肩、首、耳へとゆっくり顔を上げながら匂いを嗅いでいく銀時に、さすがに土方もおかしいと思ったようだ。
「…万事屋?…」
耳の後ろを嗅ぎながら銀時が笑ったので、暖かい息に土方が身を捩る。
「煙草と汗と……あとは…なんか煙?」
「あ?」
「土方の匂い」
「!!!」
「お前いつも風呂に入っちゃうから匂いなんてしねーんだけど、今日は全部残ってる」
土方にバラしたので遠慮なしにくんくん嗅いでる銀時に、言われて土方も気が付く。
非番を返上してかかりきりだった任務が大捕物の乱闘で終わり、近藤にこのまま休めと言われて会いたい気持ちが我慢できなくなって、屯所に戻るはずの車から降りて来たのだ。
しつこくにおいを嗅ぐ銀時の身体を両腕で押し返しながら、
「ちょっ……ちょっと待てっ! 風呂、入ってくるっ」
赤い顔で叫ぶ土方の抵抗を押し戻してぎゅーっと抱き締める銀時。
「させませんんんん」
「はーなーせーっ!!」
「石けんもいいけど……こういうのもいいよなぁ」
「嗅ぐなぁぁああ!!」
「ちょ…うわっ!!」
暴れる土方を押さえつけるが場所が場所だけにバランスを崩した銀時は、ソファとテーブルの間に撃沈。
土方は素早く起き上がると、怒っている乱暴な足取りで風呂場へ向かってしまった。
残された銀時は笑いながら、全身くまなくピカピカに洗い上げた、照れ不機嫌な顔の土方が戻ってくるのを待つのだった。
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今朝考えました(笑)
朝から何を考えてるんだ、という変態チックな内容になりましたね。
珍しくちゃんとイチャイチャしてるでしょ? 頑張ってみました(笑)
セリフだけじゃイチャイチャにならないので、無理矢理文章入れたんですが、
無理している分、集中できなくて時間がかかったんですけどね〜。