原作設定(補完)

□その13
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#122  2015/09/02


それはいつもと同じシーンから始まった。

市中見廻りをしている土方と沖田が、銀時とばったり遭遇する。
そして、

「相変わらず暇そうだなぁ、貧乏人がっ」

「お前らはちゃんと働けよ、税金泥棒がっ」

「んだコラァ、やんのかてめー!!」

「納税者に喧嘩売る気ですかコノヤロー!!」

なんてやりとりをするのが恒例だったのに、今日は様子がおかしかった。

銀時の姿を見つけた途端、臨戦態勢の土方に対し、銀時はふっと視線を落とし深い溜め息を付く。

相手が応じないのでは土方のほうも牙をむくわけにはいかない。

「あれぇ、旦那どーしたんですかぃ?元気ねーですね」

二人の小競り合いを楽しみにしている沖田が問いかけると、銀時はわざとらしくもう一度溜め息をついてから土方を見た。

「……あのさー……ちょっと確かめてーことがあんだけど……」

「あ?」

「緊急事態なんだよねー。いい?」

「いい、って何を……」

銀時が珍しく真面目な顔をしているので、真面目に返事をしようとしていた土方だったが、次の瞬間、時間が止まった。

正面に立っていた銀時が右腕を上げ、手のひらを土方の胸にペタンと貼り付けたのだ。

「……うーん……やっぱりねーなぁ……」

そうつぶやいて確認するように、指を動かしモミモミ。

“例の時計”のように銀時以外、土方と沖田のみならず目撃した周りの人間のピタリと止まっていた動きは、土方の怒声と共に動き出した。

「…なっ…何しやがんだコラァァアアアア!!!」

胸に集中するあまり土方の攻撃をかわせなかった銀時は、それを直撃して撃沈。



ボコボコのボロボロになった銀時が地面に正座させられ、頭にたんこぶを作った沖田もその隣に座っている。

沖田の罪状は、いち早く正気を取り戻して携帯を取り出し大スクープ写真を撮影した罪、だ。

不機嫌な顔で沖田の携帯から画像を消去すると、二人の前に仁王立ちした土方が銀時を睨みつける。

「腹ぁ切る前に申し開くことはあるか」

「胸触ったぐれーで切腹ぅぅぅ!?どこのお姫様ですか、てめーはっ!」

「往来でセクハラかましとして、切腹でも甘ぇぐらいだろーが」

「セクハラじゃねーよっ!!………えっと……申し開いたら許してくれるんですかね?」

「聞くだけ聞いてやる」

煙草をすぱーっと吸いながら、愛刀の刃こぼれを確かめる土方の顔は本気のように見えた。

なので銀時は正直に白状する。

「………俺さー………土方くんのこと好きみてーなんだよね」

「………………あ?」

「旦那ぁ、そうだったんですかぃ?」

「うん。前からさ、土方くんと言い合うの楽しかったり、姿見つけては嬉しくて絡んだりしてて、なんだろうなーって思ってたんだけど、最近はドキドキするんだよねー。ベタだけど、これって恋じゃね?土方くんのこと好きなんじゃね?って思ったんだけど、銀さん男だしー、だったら土方くんは実は女だったりするんじゃないかと思ったんで、確認させてもらいましたっ」

「土方さんが実は女だったっていうのも随分ベタでさぁ」

「だけど土方くん綺麗な顔してるしさ、ミニスカプリーツの隊服なんか似合いそうじゃん」

銀時の告白と沖田とのやりとりを、開いた口が塞がらない状態で聞いていた土方は、握っていた刀を再び銀時に向かって振り下ろした。

「寝惚けたこと言ってんじゃねぇぇええええ!!」

さすがに今度は体を捻ってかわした銀時。今まで座っていた場所に深々と刀がめり込んでいる。

「おまっ、あぶねーだろーがぁぁ!」

「うるせぇぇ!!死にてーからんなふざけたことぬかしてんだろうがぁぁ!!」

「本気だから、怒られるってわかっててやったにきまってますぅ」

プイッとそっぽを向いた銀時の顔は赤くて、本当に本気で言ってるっぽかった。

沖田が面白いことになりそうだと目を輝かせて話に入ってくる。

「旦那は土方さんが女のほうが良いんですかぃ?」

「別に。土方くんは女でも土方くんだろうし。だけど女じゃねーと付き合ってもらえねーだろ」

「んなことねーでさぁ。男でも付き合えますぜ」

「まじでか」

「今は世間も寛大になってるんで、男同士、女同士でもアリなんでさぁ」

「アリなのか!?」

「アリアリでさぁ。しかも、男同士を応援してくれる腐女子なんてのもいて、旦那と土方さんならそいつらにもモテモテですぜ」

「土方くんと付き合える上に、女にもモテんのっ!? じゃあ、土方くん、早速俺と付き合……」

「付き合うかぁぁぁあああ!!!」

土方が懇親の一振りを二人の間に叩き込むと、それをギリギリでかわすことはできたがあまりの威力に地面がもうもうと土煙を上げた。

そして、それが晴れたときには土方の姿は無くなっていた。

地面に座った銀時が口を尖らせる。

「土方くん怒っちゃったじゃん」

「…大丈夫でさぁ」

訳知り顔で沖田がにやりと笑った。




足跡が残りそうなほど地面を蹴り、両手をぎゅっと握り締め、歯を食いしばって歩きながら、

『人の気も知らねーで、あの腐れ天パ−!腐れ天パー!!腐れ天パー!!!』

そう心の中で叫ぶ土方の顔は真っ赤で、心臓はバクバクと高鳴っていた。






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できたてホヤホヤ。昨日仕事中に考えました(笑)
こんな銀土を考えてるのが楽しくてしかたがない。
というか、銀土で妄想しているのが一番の眠気覚まし(笑)



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