原作設定(補完)

□その12
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「ただいま〜」

「……」

「銀さん、今日……うわっ……え?………土方さん?」

「おう」

ん…寝てたか…ガキ共帰ってきたんだ……緊張して心臓がヤバい…

「どうしたんですか?」

「寝てるだけ。神楽は?」

「定春ともうちょっと散歩してくるそうです」

「あ、そ」

あ、そ。

「………ふふ」

「何笑ってんだ、てめっ」

「そうしてると本当に付き合ってるように見えるなぁって」

……は?

「だから嘘じゃねぇって言っただろうが」

「いや〜、だって土方さんですよ?信じられるわけないじゃないですか」

「土方くんに銀さんはもったいないってか?それは土方に失礼だろ」

「逆です。ずーずーしいですよ(笑)」

……って……

「とっくにバラしてんじゃねぇかぁぁああ!!!」

あんな偉そうに説教しておきながらこの野郎ぉぉおお!!

起き上がって胸倉を掴んでやると、万事屋は口を尖らせて憎たらしい顔で拗ねてみせる。

「俺がバラシたんじゃないですぅ」

「ああ?じゃあなんで…」

その問いかけにはメガネが半笑いで答えてくれた。

「銀さん、そういうの隠しておけないんですよ。毎日ニヤニヤ笑ってて気持ち悪い、って神楽ちゃんにバレちゃって」

チャイナまで!

いい年の大人としてどうなんだっ!付き合ってるぐらいでそんな、毎日ニヤニヤ………するぐらい嬉しかったのか?

それ以上怒れなくなってしまった俺に、万事屋はにやりと笑う。

「良かったじゃねぇか、2人になんて言おうか悩まずに済んで」

「そういう問題じゃねぇっ!!」

反省の色なしの万事屋の首をそのままきゅ〜〜っと締めてやろうかと思ったとき、

「え?そのために来てくれたんですか?」

そう言ったメガネは何故か嬉しそうだ。

「あはは。わざわざすみません。銀さんは見てのとおり、だらしなくていい加減甲斐性なしですけど、よろしくお願いします」

「お母さんっ!?」

妙に落ち着いてるメガネにそんなことを言われて、油断していた俺の頭の中のほうがぐらぐら揺れている。

「え、あ、その……ふ、不束者ですがよろしくお願いします」

「嫁っ!?………は、別に間違ってねーか」

「誰が嫁だぁぁああ!!」

「マヨラ、嫁に来るアルか」

いつの間にか帰ってきていたチャイナと定春が立っていて、その声はメガネ同様、いたって普通だった。

そういえばこいつらずっと前から知っている風なのに、外で会っても何も言わなかったな。

万事屋のためか?意外と好かれ……

「うちの嫁として認めてほしければ、毎日酢昆布2………1個上納するヨロシ」

買収かよっ!しかも2個って言おうとして、遠慮して1個って言い直したよっ!貧乏って可哀相っ!

「神楽ちゃん、毎日1個は土方さんだって負担だよ」

嘗められたぁぁぁ!!酢昆布って100円ぐらいだろ?一ヶ月で3000円ぐらいじゃねぇかっ!!

「……ううっ……」

万事屋っ、てめーは何泣いてんだっ!!てめーが不甲斐ねーからこいつらがこんなに貧乏性になるんだろうがっ!!

「………分かった。毎日酢昆布な」

「まじでか!!キャッホォォオオ!」

「お前は?」

「え?」

「チャイナだけじゃズリーだろ。何か欲しいものねーのか」

「僕もいいんですか?えっと、じゃあ、あの………卵1パックを(照)」

どんだけ家庭的だよ、苦労してんだな(家でも仕事先でも)。

「分かった。両方毎日用意する」

「ありがとうございますっ、土方さんっ」

「マヨラっ!いつでも来ていいからなっ!好きなだけうちでイチャつくネ!!」

超懐かれた。

「じゃあ、俺はねぇ……」

「てめーは自分で買えやぁぁああ!!」

「ちぇー、けちぃ」

拗ねる銀時をガキ共がからかう姿を見つめながら、隠れて付き合ってることに罪悪感があった自分がバカらしくなってきた。

最初から言っておけば、万事屋を不安にさせることもなかったのに。

自分に呆れていると、3人が俺をじっと見つめているのに気付く。

「あ?」

「おまっ!!そんな可愛い顔で笑うんじゃありませんよっ!子供たちが見てるでしょうがぁぁ!!」

「抱きつくんじゃねぇぇえ!!!」

ガキ共の前でふざけたことを言ってふざけたことをする万事屋を殴りとばしてやったが、顔がしばらく熱かった。



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