原作設定(補完)
□その12
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告白されてからずっと割とポジティブなことしか考えずに楽しくやってきた銀時と違い、土方はネガティブとを行ったり来たりして悩み続けていたようだ。
それもこれも、みんな俺が記憶を…しかも土方との思い出だけを忘れたせいだな、と改めて深く反省した銀時は、泣きそうな土方の頬に触れ、
「ま、思い出しちまったことだし、もういっぺん俺らの未来について考えてくださいコノヤロー」
ぶにーっと摘まんで無理やり笑顔を作ってやった。
目と眉は泣きそうなのに口だけ笑っているという可笑しな顔をした土方も、銀時の意見に意義はないようでいつものように毒づく。
「上等だコラァ」
「ひひ」
そのまま抱き締めてやると、いつもは躊躇いがちの土方もしっかりと抱き返してくる。
疎らとはいえ往来には人も歩いているのにお構い無しで縋り付いてくる土方に、全てを思い出した銀時は我慢できなくなった。
正確には、銀時の銀時が。
逃げられないようにしっかりと抱き締めたまま、本音を行ってみた。
「無事に問題解決したところで、“あの日”からやり直しちゃったりなんかしたりして欲しいんですけどぉ」
始めは頭に??を浮かべていた土方も、“あの日”に何があるはずだったのか思い出し、もじもじ身体を捻りながら非情なことを言い出す。
「………あ…う……か、覚悟なんて、もうどっか行っちゃったし……」
「え〜」
心底がっかりしたような声を上げる銀時だったが、あんな目に合わせてしまったのだから仕方ないとも思える。
身体を離すと、困った顔をしている土方に残念そうに笑ってみせた。
「もっかい覚悟できるまで待ちますよ。銀さん、待てる男だからね」
そう言って、“覚悟”のためのスキンシップに手を繋いで歩き出した。
時間はまだまだある。これからもいろんなトラブルが待ち構えているだろうけど、この手を離さなければ大丈夫。
銀時は繋いだ手をしっかりと握り締めて、そう願うのだった。
と、銀時が一人で盛り上がっている中、土方は手のひらから伝わってくる銀時の熱で、身体が熱くなっていくのを感じていた。
もっと、ちゃんと、また忘れられたりすることがないように、この手を自分に縛り付けておきたい。
上機嫌で歩いている銀時に、1つだけ聞きたいことがあった。
「万事屋」
「ん?」
「……てめー……思い出して良かったか……俺のこと……」
「当然でしょ。土方くん、イケメンだし、高給取りだし、将来有望だし。どこの誰かわからない嫁を貰うより、土方を嫁にしたほうが銀さん超幸せじゃね?」
新八に言われたことを加味してそう答えた銀時に、土方はぎゅっと手を握り締め呟いた。
「……できた……」
「あ?なにが?子供?まだやってねーのにぃ?」
「やってもやってなくてもできるかぁぁ!!」
「じゃあ、なんですか」
「………“覚悟”………」
「……………まじでか」
思っていたより早く到来した“その日”に銀時が嬉しそうな顔をするので、土方もガチガチに緊張しながら少しだけ嬉しくなった。
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はい、終わりましたっ。
こんなに長くなる話じゃなかったはずなのになぁ……余計に追加しすぎましたね。
全然読み直してないので、もう文章がめためただと思います。
意味が通じてくれてればいいなと願うだけです。
相変わらずエロなしのバカップルですみません(笑)