原作設定(補完)

□その11
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真選組の屯所に戻った土方は4日も行方不明になってしまい申し訳ない顔をしながら中へ入ると、

「トシィィィイイイイ!!帰ってきてくれたんだなぁぁ!!」

「副長ぉぉおお!!」

号泣せんばかりの熱烈歓迎を受けて、少し嬉しくなった。

「近藤さん、みんな、すまねぇ…」

「謝るのは俺達のほうだっ!本当にすまねぇなぁ、トシィィ」

「……あ?……」

「ストーカ……“愛の護衛”も減らすしっ、仕事もちゃんとするから見捨てないでくれよっ」

ストーカーだという自覚があったのかと思いつつ、どうも話が噛み合ってないような気がしてきた。

「近藤さん、見捨てるってなんだ?」

「何って、お前が『局長はストーカーばっかりで仕事しねーし、総悟はサボリばっかりで仕事しねーし、他のやつらもなんだかんだ言って仕事しねーし。もうフォローはごめんだ。真選組なんか辞めてやる!』って言ってるから、なんとか宥めてやるからトシを休ませてくれって万事屋が……」

『あのやろぉぉ!!なんつー言い訳しやがるっ!』

「違うのか?」

違うかと聞かれればそう思ったことが何度もある土方としては否定しようもない。銀時の悪事をすべてなかったことにしている言い訳だが、近藤たちが反省して真選組が良くなるならそれもいいかもしれない。

この際だから話しにノッテしまおうかと思ったとき、のんびり現れた沖田が背後に立って呟く。

「なんでぃ、もう元に戻ったんですかぃ。………旦那も情けねーなぁ」

「総悟……てめー知ってたのか」

全て承知の口ぶりに総悟を振り返ると、両手にお菓子山ほど持ち、“副長代理”の襷をかけている。
どうやら銀時から口止め料をせしめた上に、うるさい土方の居ない屯所生活を満喫していたようだ。

「……ずいぶん楽しそうじゃねーか……」

「そうでもないでさぁ。副長の仕事は大変で、初めてアンタを見直しましたよ」

なんてことを言い出すので、沖田もやるときはやるんだなと感心しようとしたら、山崎がげっそりした顔で叫ぶ。

「隊長はなんもせんかったじゃないですかっ!局長と俺が全部……うっ…」

「ザキぃぃ!すまねぇ、トシっ、俺も山崎も頑張ってはいたんだが、しょ…書類が全然片付かなくてよぉ」

「す、すいません、副ちょ……」

やつれた2人を見て逆に謝るのは自分のほうだと思いつつ、一人だけ顔色ツヤツヤの総悟を見ると自分のことは棚上げでもいいんじゃないかと思えてしまう。

「総悟っ、てめー、副長の座を狙ってるんだったら全部手伝えよ!」

「いやでぃ。俺が欲しいのは権力だけでさあ!」

「てめー…」

至極総悟らしい言い分につい挑発に乗ってしまうところだったが、今はそれどころじゃないようだ。

ボロボロの近藤たちと隊士を見て溜め息を付くと、

「とっとと片付けるぞ」

そう告げた土方に全員大喜びで建物の中に書け戻って行く。やはり土方の掛け声がないと気合が入らないのだ。

そんな奴らを見て、フォローに回るのも悪くないと思った。

銀時の罠にはまる前は、休みもなしに働くことが不満だったのに、小さくなって仕事ができないと毎日暇なのが不満で。

『無いものねだりに気付けただけでも、アイツの悪さに意味はあったのかな……できるだけ休みは取ってやろう』

土方が銀時のためにそう決意したものの……。



「いつになったら休めるんですかぁぁ!?」

“しばらく無理だっ!総悟がしでかした始末書や、総悟がしでかした被害届や、総悟がしでかした損害賠償、なんだかんだでまだまだ休めねぇ!!”

たった4日留守にしただけで真選組は大変なことになっていて(テレビも新聞もなかったので土方も銀時も知らなかった)、そう叫んで電話を切られてしまった銀時は万事屋で悶絶。

「ばーんってなる、(股間が)ばーんってなるぅぅ」

「身から出た錆ですね」

「銀ちゃん、どこ錆びたアルか!?油差すアルか!?」

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