原作設定(補完)
□その11
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「そういえばチャイナはどうしたんだ?」
「定春と一緒にお妙んとこにお泊り。あいつらが暴れると多串くんペチャンコだからね」
そう言われて壊れたテレビをチラ見し、ゾッとする土方だった。
「多串くん、風呂入る?」
「あー…そうだな、入りてー、かな」
「お手伝いします」
「………………」
ぷすっ
「いったぁぁああああ!!凶器だから、つまようじだって立派な凶器だからっ!!」
「バカなこと言ってねーで、風呂の準備しろやっ!!」
「ブツブツ…いいじゃん、どうせ小さくて見えねーんだから…って、あ、違うよ?小さいって、アレが小さいって意味じゃ…」
ぶすうぅぅっ
「ぎゃぁぁぁあああ!!」
「(怒)」
洗面器に張ったお湯で、一人ゆったりくつろぎました。
あれから2、3日は銀時と一緒になってダラダラしたり、イチャイチャ(上記参考)したりしているうちに過ぎてしまった。
仕事の依頼で2人とも外出した後、土方は何もやること、やれることがなくて、ぼんやりしていると余計なことと考えてしまう。
『何もしねーでこんなに長くただ休んでるのって久し振り……真選組が出来てから初めてか?…』
銀時と付き合ってからはだいたい一緒にいたし、付き合う前も暇だと言っては仕事を始めてしまったりしてよく近藤に注意された。
『万事屋なんて、あんなに暇だらけで毎日退屈しねーのかな。ある意味すげーよ。こんなダメな生活マネできねー』
そんな失礼なことを考えながら、最終的には同じ問答に戻ってしまう。
元に戻れるのか?
ゴロゴロしていた身体を起すと、凶器……つまようじを握り締めた。
「ただいまかえりました〜」
仕事から一足先に帰ってきた新八がそう言いながら中に入ると、奥の部屋から声が聞こえた。
「ハッ!ハッ!ハッ!」
こっそり覗いてみると、テーブルの上で土方がつまようじを使って素振りをしている。
身体を動かしていないと落ち着かないのかもしれない。
武道の達人揃いの真選組だけあって、身体は小さくてもその気迫は伝わってきた。
新八の帰宅に気付かないほど真剣に集中している後姿を見て、新八は胸が苦しくなる。
銀時が寄り道して甘味を仕入れてくると、ちょっとしたおやつタイムになった。
土方用のあまくない駄菓子にマヨネーズを盛ってやりながら、
「今日は何してんたんだ?」
銀時がそう聞くと、土方はしれっとした顔で答える。
「寝てた。やること何もねーし」
「だよなぁ。その身体じゃジャンプも読めねーしな」
「やっぱりテレビ買えよ。ボタンぐらいなら押せんのに」
「だから金がねーつーの。……あ、多串くんが出してくれても……」
「いいぞ」
「まじでか」
土方が“懐”からさっと財布を取り出す。当然、財布も中身も小さい。
「……買えねぇぇ……」
がっくりしている銀時に、土方がざまーみろという顔で笑った。
おやつタイムが終わると、土方は立ち上がり、
「風呂に入る」
そう言い出したので、すかさず新八が答えて風呂場に向かった。
「沸いてます。汲んでおきますね」
土方が身体を動かして汗をかいただろうと気をきかせておいたらしく、土方がそのあとに続いて風呂場へ向かう。
また刺されるといやなので、銀時は余計なことは言わないことにしたようだ。
数分後、先に戻ってきた新八が、ソファに座ってジャンプをめくっている銀時の向かいに姿勢良く座り言った。
「いつまでだましておくつもりなんですか」
真面目な新八のことだからいつかそう言い出すだろうと思っていた銀時は、ちょっと拗ねるような顔をする。
「こんな方法でもとらなきゃ休まねーだろ。もうちょっとぐらいなんとかなんじゃね?」
「でも、土方さん、寂しそうですよ」
「……わ、分かってますぅ。だけど銀さんだって寂しかったんだもん」
「だもん、じゃないでしょ、気持ち悪っ」
真面目に説教されているとどっちが子供なんだか分からなくなってくる。
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