原作設定(補完)

□その11
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「ちょっ、土方っ」

「ほっとけ、バカっ」

早歩きで屯所への道を戻って行く土方に、追いついた銀時は困ったような顔で頭を掻く。

「泣いてるやつ放っとけるわけねーでしょーが」

「泣いてねぇ、アホっ」

言ってることはいつもの土方なのに、目と口を歪めて涙を流しているだけで自分が悪いことをした気になるのだから、涙は怖い。

「泣いてんだろうが…………何があったんですかぁ?」

「…てめーのせいだろうが。2人で仲良くしてろよ、クソがっ」

「あ?それ?…………なんでそれでお前が泣くわけ?」

不機嫌そうに問いかける銀時に、土方は怒鳴り→号泣して叫んでいた。

「好きだからに決まってんだろうがぁぁ!人の気も知らねーで、俺の前でイチャイチャしやがって、死ねコラァ!!」

わあぁっと泣き出す土方に、銀時はあわあわとうろたえる。

「あ?(怒)」と言い返したくなるぐらい言葉は悪いのに、泣いてるというだけで胸が締め付けられる。

慌てて銀時は土方の腕を引っ張って路地裏に入ると、そのまま抱き締めた。

驚いた土方が一瞬で泣き止んだので、銀時のほうも思っていたことをぶっちゃけてやる。

「知るわけねーだろ、お前、そんな素振り少しも見せなかったじゃねーですか」

「見せられるかっ、気持ち悪がられたらどうすんだボケェ!!」

「そんなん、俺も同じだっつーのっ」

「………ぐすっ………意味が分かんね」

「なんでだよっ」

「頭が悪いから………お前の」

「俺っ!!? ………あ〜〜〜、もう、確かに悪いんだけどさっ………俺だって、お前にドン引きされたら嫌だなぁと思ったから言わなかったのによぉ……」

ブツブツと呟く銀時に、土方も抱き付いてやる。逃げられないように。

きっと口に出して言うのは苦手だろうけど、この悲しみを消すために、今はちゃんとした言葉で聞きたい。

「何を」

「…ぐっ………何って………その………」

「言わねーとまた泣くぞコラァ」

「あ?泣き落としはカワイコちゃんの特権……」

涙を潤ませてじっと見つめる土方が銀時にとってのカワイコちゃんでないはずもなく、掠れるような声でそっと耳元に白状させられる銀時だった。




翌日。

腑に落ちないものはあるが、沖田のおかげで銀時と上手くいった土方は、お土産片手にすご〜〜〜く遠まわしな礼を言ってみた。

「飴の効力? んなもの、夕方で切れていたはずでさぁ」

そう言って土産だけ持ってさっさと姿を消してしまう沖田。

「………なっ………」

つまり、泣いて喚いて銀時に告白してしまった自分は素の自分だったらしく、今更ながらに恥ずかしくなって真っ赤になる土方。

どちらにしろ飴の効力を知らない銀時にとっては、昨日の土方が素直になった本当の姿だと思っているのだから、恥ずかしくなるだけ無駄だったが。







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オチがネタメモと随分変わってしまったんですが、
まぁ、うちのバカップルはこんなものでしょう。



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