原作設定(補完)
□その11
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#105 2015/07/31
ある日の夕方、急な予定変更で非番になった土方は、どうせ居るだろうと万事屋にやって来た。
電気が点いていたので、チャイムは鳴らさずに扉を開けて、
「万事屋、じゃまするぞ」
そう声をかけて中に入ると、扉の閉まったリビングから慌しい物音。
「えっ、多串君!?ちょ、ちょっと待った……服、俺の服っ」
「わぁ、銀さんっ、それは僕のですっ」
「………」
新八と神楽が居るのは承知で来たのだが、二人の慌てた会話から、
『服!?まさかあのガキと……』
あは〜んな感じのいらぬ妄想を抱いてしまい、土方は扉に駆け寄りバーンと勢い良く開けた。
「お前ら!!」
「あ………」
そこには、銀時と新八……ではなく、パー子とパチ恵が自分たちの服を片手に凍りつき、酢昆布を食いながらカメラを構える神楽が居た。
「……くくっ……」
「客寄せ用の写真を頼まれただけですぅ」
「写真だけならいいかなーって」
悶絶している土方に、照れながらふて腐れる銀時と、照れながら笑う新八。
「くくっ……お前らみたいなんで客寄せになるのかよ……ぷふっ」
「俺ぐらいのがちょうどいいんだよ、可愛いだろうがっ」
「可愛……………ぶははははっ」
改めて2人を見つめて爆笑する土方に、銀時はさすがにムッとしたようだ。
「神楽っ」
「あいよっ」
察した神楽が素早く土方の後ろに回りこむと、笑っていて油断していた土方の両手を後ろ手に掴んで捕獲した。
「……なっ……」
「イケメンの副長さんは、さぞかしお美しいんでしょうねぇ」
「は!?ちょ……待てぇぇぇぇええ!」
にやにやと笑い化粧品と着物を手にしたパー子とパチ恵に迫られる土方だった。
20分後。
「………だめだ、こりゃ洒落にならん」
複雑な顔をする銀時。
「すごいですね〜」
感嘆の声を上げる新八。
「……っ……てめぇ……」
2人を睨みつける土方の前に、神楽がさっと鏡を差し出す。
そこには、『え?この美人はどちら様?』と自分でも言いたくなってしまうほどの美女が写っていた。
「………」
「………」
「………ふはははっ、どんなもんだっ!」
開き直る土方。
「よっ、マヨ美ちゃん、可愛いっ」
「こっち向くヨロシ。そうそう、そんな感じ。いいアルヨ〜」
ネジの外れた土方を含む三人の悪ノリ写真を撮りまくる神楽を加え、万事屋の騒がしく愉快な夜は暮れていく。
翌日。
「こんなの使えるわけないでしょーがっ」
「……ですよね〜〜……」
にこっと微笑む絶世の美女・マヨ美の写真(パネル)を西郷に見せたが断られてしまった。
「店に出てくれるなら使ってもいいけど。交渉してみてよ」
「いや、殺されます」
「ちぇっ、マヨ美の分のパネル加工代ムダになっちまったな……(素の土方が好きなので)これを部屋に飾る趣味はねーし」
風呂敷に包んだパネルを持ってブチブチ文句を言っていたら、団子屋でサボリの沖田と遭遇する銀時。
「………」
「………」
『ああ……勢いとノリとはいえ、なんてことしちまったんだ俺は』
昨夜の醜態を思い出してまだ落ち込んでいる土方が副長室から出てくると、廊下がなにやら騒がしい。
隊士たちが群がって見つめている先には、にこっと微笑む(以下略)のパネルが飾られてあった。
「!!!!!?」
土方はパネルを引っ剥がして、食堂でノンビリ茶を飲んでる沖田のところへ駆けつけた。
「総悟ぉぉおおお!!!」
「なんで俺ですかぃ」
「何のことかすぐに分かるってことは、やっぱりてめーだろうがっ!!こ、ここ、これをどっから盗んできたっ!!」
「人聞きの悪いこと言わねーでくだせぇ。怪しげな人物から団子65本で買ったんでさぁ」
「万事屋だろうがっ!!しかも微妙な値段っ!!」
その夜、怒鳴り込んできた土方にボコボコに殴られる銀時だったが、連日で会えて嬉しいのであった。
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なんだこの話(笑)
ちょっとだけ銀新?……なんてね。
でも銀土成分もかなり少ない話でしたね(笑)