原作設定(補完)

□その11
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#103  2015/07/29


「土方?今から出るとこだけど、どうし………はぁぁあああ!?おまっ、出かける直前にドタキャンってどういうことですかっ!……ドタキャンの意味ぐらい知ってるわぁぁ!!なんですか、逆ギレですか?だいたいお前はいつもっ……………切りやがったなコノヤローォォオオ!!」



という電話から30分後、銀時はいつもゴロゴロ昼寝をしている川原にやってきていた。

あのまま家に居てイライラするのも嫌だったので、自然に触れて気分を変えようと思ったのだ。

「あのヤロウ、俺が優しくしてりゃつけあがりやがって」

……変えられていないようだ。

「仕事仕事って、そんなに忙しいのか?ゴリなんかいつも暇そうじゃねーか。沖田くんだってしょっちゅうサボってんじゃん……だから忙しいのか?」

「いやいや、だからって、アイツが忙しくする必要なくね?他にも変わりはいるだろうが……責任感強いからな」

「だけどっ、そのたびに放っておかれる俺の立場はどうなんのよ、可哀相じゃね?」

なんてブツブツつぶやきながら、手元の石を川に投げてみたり、生えている草をブチブチちぎってみたり。

「俺だっていい大人だからね、我慢はするよ。するけどさー、それに対しての誠意ってのがねーんだよな」

「仕事終わってから家に来て“ごめんな”って一言あってもいいじゃん、そういう可愛いとこ見せられたら怒り収まるじゃん」

「“お前が携帯持ってないからメールもできねーし”ってなんだよ、メールで済まそうとすんなよっ、悪かったですねぇ、貧乏でっ!」

だんだん石を投げる手も、草をちぎる手にも力が入ってくる。

「だいたい“近藤が”って理由多すぎね?どんだけ大事なんですか、あのゴリがっ、俺よりっ」

「電話するのもだいたい俺だし?顔見たさに偶然装って町をプラプラしてんのも俺だし?…好きだって言うのも…俺だけだし…」

ちょっとズレたら悲しくなってきてしまったので、慌てて怒りを気合に入れなおす。

「仕事を理由にしたら何でも許して貰えると思ってんじゃねーっ!俺はそんなに気の長い尽くすタイプじゃねーからっ!」

「たまには俺を優先して駆けつけてきてみろってんだ!会いたいって面して来てみろよっ!」

でも会いたいときにはいつも居ない。

「ああぁぁぁぁああっ!もういいっ!!あんなヤツっ…」

海……訂正、川に向かって叫ぼうとしたとき、ふわんと煙草のにおいが鼻に届き、振り返った。

隊服で地面に座り、立てた膝に腕を乗せ煙草を吸う土方がそこに居た。

「続けろよ」

どこから聞いていたのか分からないが、そう言った土方の顔は無表情で銀時はむっとしながら前を向く。

「あんなヤツっ………あんな……」

常日頃の恨みつらみを口にしてきたが、やっぱりこうやって会えると嬉しいと思っている自分が悔しい。

銀時は両手のひらを口に当てて遠くまで聞こえる声で叫んでやった。

「あんなヤツ、大好きだぞコノヤローォォオオオオオ!!」

「恥ずかしいこと言ってんじゃねぇ」

銀時の心の底からの叫びは、土方の蹴りで台無しだ。

尻を蹴られて地面に転がった銀時が、

「なにしやがるっ、おまっ……」

文句を言おうと起き上がったとき、目の前には差し出された土方の手があった。

「行くぞ」

「…どこに?」

たったそれだけのことにドキドキしながらその手を取ろうと伸ばした手……首に、ガシャリと音を立てて手錠が食い込んだ。

「んだこりゃぁぁああ!ちょっ、おまっ、熱烈すぎんだろっ!」

「通報があったんだよ」





「土方さ〜ん、川原で石を投げながら騒いでる人がいるそうでさぁ」

「……んなもん、暇なヤツに行かせろ」

「それが、銀髪天パーの奇怪な服装をしたヤツらしいんですがね」

「……お前が行け……」

「嫌でさぁ」

「俺は忙し……」

「ああ、そっちも松平のとっつぁんから連絡がありやした。“片付いたから解散〜”だそうです」

「…………(怒)」

「良かったじゃねぇですかぃ。これで首を長くし待ってた非番も取れるし、旦那にも会えて一石二鳥でさぁ」

「………出動がねーなら、お前は見廻りの時間だろうが」

「へ〜い♪」

「…………(怒)」





そして着替えもせずにそそくさとここへやって来て、面と向かっては文句を言わない銀時の本音も聞けた。

手錠をしたまま歩き出す土方に、銀時は首を傾げる。

「おい、こっち屯所じゃなくね?」

「………どこ行くんだよ」

「あ?それはこっちのセリフ……」

「昼間から約束させたんだろ。どっか行きてーとこあるんじゃねーのか」

隊服を着てるのでまだ仕事中だと思っていたが、どうやらこのまま非番にしてくれたらしい。

『たまにしか会えないから会えたときがめっちゃ嬉しい……なんて思わないからなコノヤロー』

心とは裏腹にめっちゃ嬉しそうな顔で笑ってしまう銀時だった。




おまけ

「つーか、そろそろコレ外して貰えませんか」

「あ?………………あ………」

「……おい……」

「忘れた」

「結局屯所に行くんじゃねぇかっ!!」





==============
原作設定が書きたいぃぃぃいいい!!……とたまらなくなったので、
急遽原作設定になりました。
ま、ありがちな話ですけどね。
もっと銀さんの不満を並べたかったのですが、急遽じゃ思いつかなかったぁ。
土銀っぽいのには目をつぶってください。
うちの銀さんヘタレなので(笑)


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