原作設定(補完)

□その10
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#91  2015/07/01


万事屋にて朝風呂を借りた土方が髪を拭いながら出てくると、銀時は何やら真剣にテレビを見ていた。

内容は、漫画やアニメなどで人気の“ツンデレ”について説明しているもので、街角インタビューで“体験したツンデレ”、“憧れのツンデレ”などを聞いている。

『……ちょっと古くね?……』

そう思いつつも、振り返らない銀時の背中に嫌な予感がして敢えて口にしなかった。

ソファに座って煙草を口にくわえたとき、視線を感じて顔を上げる。銀時がじっとこちらを見ていた。

「………んだよ………」

「土方くんは全然デレてくれないなぁと思って」

ほらきた。

「……ツンデレじゃねーし」

「うん、デレないもんね、ツンデレじゃないよね。ツンばっかりで銀さんツライなぁ」

「知るか」

「ほら、ツン」

「…んだコラァ」

「それがツン」

ムカつくがそれを言ったらまたムカつくことを言い返されるので土方はグッと我慢したが、

「ま、土方くんには無理なんだから仕方ないよね」

などと言って、銀時はわざとらしいぐらいの溜め息をついた。

挑発だと分かっていても、これだけあからさまに売られたら買わないわけにはいかない。

「無理って何だコラァ」

「だって無理だしぃ」

「…てめー、上等だっ。デレでもなんでもやってやらぁぁ!!」

そう叫んだ土方に、銀時はにや〜ぁと笑った。

「それじゃあ、次にうちに来るときは是非デレでよろしく!」



なんてやりとりがあった後、銀時は毎日ウキウキしながら過ごしていた。

今から楽しみにしていたからといって、忙しい土方が早々にやってくるわけがないのだが、楽しい時間は長い方がいい。

負けず嫌いの土方のことだから、不機嫌そうに眉を寄せ、それでも真っ赤になりながら万事屋に来てくれるはずだ。

その日を待って、待って、待って……

『……あれ?……』

待ち続けて、三週間。



真選組屯所に忍び込んだ銀時は、副長室の文机の前で煙草をふかしている土方の前に土下座。

「いつもどおりでいいんで、うちに来ないとかやめてください」

「あ、そ」




土方の作戦勝ちと思われた今回の勝負だが、実は引き分けだった。

ああ言われて後に引けない土方は、トッシーの置き土産の美少女アニメを見たり、副長室でこっそりデレの練習もしてみた。

しかし、いざ万事屋の玄関の前に立ってみたら、どうしてもドアを開けることができず、

『やっぱり無理無理ぃぃぃいい』

と逃げ帰ること3回。



『コイツが先に折れてくれて良かった』

さっそくお泊りに行った万事屋で、銀時をハグしながら肩の荷が下りた土方だった。





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う〜ん。短いのを探したら見つけたんですが……
これは銀さんの土下座が書きたかっただけの話だな(笑)
漫画で描きたかったけど、短いけど、仕方ない……うん。



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