原作設定(補完)
□その9
6ページ/16ページ
#84 2015/06/23
ある日の午後、ばったり会った公園でベンチに並んで座り、告ってみました。
「俺と付き合わね?」
「………どこに?」
「ベタだなっ。じゃなくて……お付き合いするほうの“付き合う”なんだけど」
「………」
土方は、吸っていた煙草を地面で踏み潰し、新しい煙草を出して、吸って〜吐いて〜。
「………どこに?」
「仕切りなおしても意味は同じだから」
“やっぱり無理か”という呆れた顔で溜め息をつく土方の、気持ちは分かる。
「……なんで俺だよ」
「しらね」(即答)
「…だったら他を当たれ」(怒)
「嘘嘘嘘っ。ん〜〜………か……可愛い、から」
聞かれたから顔真っ赤っかにしてまで答えてやったのに、土方を震撼させてしまったようだ。
「っ!? キモイわぁぁああ!!見ろ、鳥肌たったじゃねーかっ!」
「失礼だろうがぁぁああ!!」
泣きそうだ。
土方は俺の涙目に気付いて、ベンチに座り直すとがっくりとうな垂れる。
「…なんなんだよ、マジで、あり得ねーだろーが」
「意外とお似合いじゃね?想像してみろよ」
「………(想像中)………………やっぱり、無理無理無理無理っ」
その気持ちも分かる。だから次の手は考えてあった。
「どうしても無理なら、ゴリラに相談する」
「あ?」
「だって、お前が無理だって言っても俺は全然諦めてないし、このままじゃお前のストーカーになるの確実だし、ゴリラに許可もらっておいたほうがいいだろ」
「なんだよその理屈」
「無許可で真選組副長追い回してたら捕まんだろーが」
“いっそのこと捕まってしまえばいいのに”と顔に書いてあるが、そんなことをしたら真選組のみんなにこのこと(告白)がバレると気付いたらしい。
しぶしぶという顔で頷いてくれた。
「……分かった」
キャッホォォウ!
それから、土方の非番には、団子屋でお茶したり、サウナ行ったり、映画見たり、酒を飲んだり。
そんな日々に、土方がポツリと言った。
「……今までと同じじゃね?」
確かに。
「…えっと………じゃあ………」
“今までと違うこと”を一生懸命考えまして、そっと手を繋いでみました。
そうしたら、何をする気なんだろうと完全無抵抗だった土方に、
「………ふっ、ガキか」
鼻で笑われました。
分かってますよぉぉ、四捨五入したら三十路の男が青臭いことをしてるってぇぇ!
でも笑われたのは悔しいので、切り替えしてやりました。
「え、大人のスキンシップのがいいの?……えっち」
「違うわぁぁああ!」
「しーっ」
あんまり騒ぐと手を繋いだままの男2人が変な意味で注目されることになってしまうので、口元に指を当てて注意してやると土方は不本意そうに黙った。
それでも手を振り解かれることがなかったので、超嬉しいなと思いました。あれ?作文?
おまけ
「しーっ」
むかつく仕草で静かにするように促されたが、“手を繋いでなきゃいいんじゃねーか”と振り解いてやろうかと思ったのに、俺の手を握った万事屋の手がうっすら湿っていた。
『………緊張してんのか?』
そう思ったらなんだか可愛く………訂正、可哀想になったので、そのまま繋いでやった。
==============
恥ずかしい話だな(笑)
本当は初キッスまで続くはずだったのですが、
展開を全然考えてなかったし、始終恥ずかしがる男2人は怖いのでで中止(笑)
“あれ?作文?”をはじめて使いました。