原作設定(補完)

□その9
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3日前、真選組で目をつけている攘夷志士がかぶき町で目撃されたという情報に、副長自ら深夜の見廻りに参加していた。

深夜とはいってもかぶき町だけにまだまだ賑わっていて、だからこそ人の動きも多いしピリピリと警戒している中、背後からにゅっと伸びてきた腕に土方は感嘆に後ろを取られてしまった。

そしてそのまま路地裏に引っ張り込まれ、刀を抜いて抵抗する前に壁に背中を押し付けられ、

「ひ〜じ〜か〜た〜くぅぅんんっ」

聞き覚えのある間の抜けた声の主はそのまま土方の身体を抱き締める。

「よ…万事屋っ!?てめ、なに…」

「何してんですか、コレ。銀さんをほったらかしにして、何やってんですか、コレ」

「酔ってんのかっ!?ちょ、離せっ」

「い〜や〜で〜すぅぅ。忙しい副長さんに、銀さんを忘れないように印を付けてあげますからね〜」

「あ?何言って……ちょ……待てぇぇぇえええ!!」

ぐでんぐでんに酔っ払ってるくせに馬鹿力で土方を押さえつけたまま、すばやく襟元を崩すと思い切り吸い付く銀時だった。



さっぱり覚えていないが、確かに3日前はめずらしくパチンコで勝ってそれをすべてかぶき町に還元していた。

土方とイチャイチャする良い夢を見たと思っていたが、夢ではなかったらしい。

キスマークを発見してからの自分の葛藤が急に恥ずかしくなって赤くなっている銀時に、土方は気が晴れたという顔で笑った。

「てめーでつけといてヤキモキしてヘコんでんだから…てめーは…ぷぷっ」

「おまっ…ちょっと悪趣味じゃないんですかコノヤローっ」

「屯所でコソコソ風呂入ったり、着替えたりしなきゃならなかった仕返しだ」

「それは普段からコソコソしとけっ。あいつらがムラムラしたらどうすんだっ」

「…んなもの好きはてめーぐらいだコラァ」

「おめーがそう思ってるだけで好きだって………」

いつもの調子で言い合ってしまったが、さっき重大なことを言われていたのを思い出す。

キスマークを付けた相手を「好きか」と聞いたら「好きだ」と答えた。

ずっと聞きたかった言葉は、本当は自分に向けられていたようだ。

これ以上無駄な言い合いをする時間が勿体無くて、銀時は土方を抱き締める。

「…土方…俺、嬉しい…」

「…ばーかっ…」

怒ったりヘコんだり恥ずかしがったり喜んだり、忙しい銀時を抱き締め返しながら、

『こんな印つけなくても誰が忘れてやるか』

そう思う土方だった。





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セレクトミスです。ちっとも進まなくて時間がかかってしまいました。
うーん。なんかいろいろ不足してますが……
いつか見直して追加してやりたいと思います。

仕事前の風呂に入りながら思いついたやつを、最後に追加できた〜。可愛い?(笑)


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