原作設定(補完)
□その9
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―土方篇―
「…俺たち、もう終わりにしよう…」
「………万事屋?」
「お前、仕事仕事ってほとんど会えねーし、マヨラーだし、エロいし、ニコ中だし、マヨラーだし」
「エロい、関係なくね?」
「ツッコむのそっち!? ……もう付き合いきれねーよ。じゃあな」
「…………」
「引き止めろやぁぁああ!!」
……という夢を見た。
「………あ〜……まじで夢か?なんかすげーリアルだったな……」
布団の上、上体だけ起した土方は全身にじっとりと汗をかき、居たたまれないほどの焦りに弱々しく呟いた。
正直あの程度のことは言われ慣れている。
言いながらも目は笑っていて『しょうがねーな、こいつは。そんなところも好きだけど』と思っている……んだと、勝手に思い込んできた。
だがさっきの夢は、場所は万事屋の玄関先で、至極真面目な表情にはいつもの呑気さのかけらも無くて。
「……」
身支度を整えて朝食のために食堂へ向かう途中、山崎に会った。
「おはようございます、副長」
「…………」
「…副長?」
「……俺、昨日の夜に外出したか?」
「してない…と思いますけど」
「だよな…」
じゃあやっぱりアレは夢なのだ。
ひとまず安心はしたものの、土方の心は落ち着かなかった。
そして翌朝。
「トシぃ、おはよっ」
朝からテンション高い近藤が食堂にいた土方を発見するが、ぐったりと疲れた様子で元気がない。
「どうした?顔色悪ぃぞ?」
「……別に……」
昨日と同じく夢に現れた銀時に、昨日よりさらに酷いことを言われて本気で落ち込んでいるとはとても言えない。
『なんなんだよ、コレ。もうずっと会えてないから?そりゃあ先週町で偶然会っただけで、前後合わせて一ヶ月ぐらいはまともに時間取れてねーけど、そんなのいつものことだろーが。………いつものことだから、呆れてんのか?そういえば前は時々電話かけてよこしたのに今回はねーな……』
思い出すだけで悲しくなってしまう土方は、あることに気が付いてさらに青ざめる。
『もしかして、あいつの願望が俺に夢を見させてるんじゃ……』
そんな超能力的な現象の可能性を考えるぐらいなら電話をして話をすればいいのに、何度も携帯電話を開けては閉じるを繰り返すだけのヘタレになってしまっていた。
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