原作設定(補完)
□その9
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#86 2015/06/25
夏祭りの警備に駆り出された真選組。
副長の土方十四郎は、不機嫌そうな顔で人混みの中を歩いていた。
こんな小さな祭に真選組の警備なんて必要ないだろうと反発してみたのだが、お偉いさんの命令で強引に捻じ込まれた。
その理由が、娘の通うセレブ御用達の寺子屋で庶民の祭に参加してみようツアーを行うから、だというからやる気は削がれるばかりだ。
犯罪者を牽制する意味で隊服着用、ざわと目を引くような態度で祭会場を闊歩させられている。
犯罪者どころか善良な市民まで牽制してんだろうが、と土方の顔はどんどん険しくなった。
すると、土方を避けるために割れた人混みの中からひょっこりと顔を出す見慣れた銀髪天パ。
その手には、いつも激貧の銀時らしからぬ、団子、わたがし、りんご飴、チョコバナナなどの甘味がどっさりと握られていた。
土方を見つけて嬉しそうな顔をする銀時とは裏腹に、土方の目がきらりと光る。
「お前まさか……」
鋭く冷たいその視線が何を指して言っているのか、長年この手のネタでバカにされてきた銀時にはお見通しだ。
「失礼なっ。今日のために銀さん頑張って働いたんですぅ」
「いや、いつも頑張って働けよ」
もちろん土方も本気で盗んだとか強奪したとか疑っているわけではない。
たかが祭のために一生懸命働いて、おこずかい握り締めて屋台を回るおバカな男が可愛いなと思った。
土方の生温〜い微笑が、自分をバカにしているんだろうと察した銀時は、それ以上ツッコまずに話をそらす。
「な、仕事終わったらうち来いよな」
「……行かねー。忙しいんだよ」
「ふ〜ん、分かった。じゃあ、またな」
あっさりそう答えて次の屋台へ向かう銀時。
言葉の通り、土方が本当はどうしたいのか“分かっていた”ので、振り返り、
「あ、何食いたい?銀さん、おごっちゃうよ」
そう言ってやる。
本当は行きたいと思ってるのに素直に言えない土方は、銀時に見透かされていたことに悔しそうな顔を浮かべつつ答えてやった。
「……焼きそばとイカ焼き」
「がってん」
にっと笑って銀時が人混みに消えて行くと、土方も見回りを再開する。
あれだけ不満ブーブーだった警備だったが、セレブ気取りのバカ親のバカな子供たちをきっちり護ってやろうと思った。
何かあったら万事屋へ行けなくなる、そんな理由でやる気が出る自分が気恥ずかしかった。
おまけ
「おまっ、マヨは自分の分だけにかけろや!」
「おごりっつったろーがっ!俺のだろ!!」
「一個を2人で分けるのがカップルの定番だろうがっ!」
「誰と誰がカップルだぁぁ!!」
『まだんなこと言うか。クソ可愛いっ!』
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どうしようもなく定番ネタな上に、
なんかたいして盛り上がりもないまま終わってしまってすみません。
激寝不足で頭が全然回ってないのです。
でも2人がイチャイチャしてるから幸せです(笑)