原作設定(補完)

□その8
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10分後、怪我をしているのか、ふらついた足取りでおとなしく隊士たちに連れて来られた2人の男に、土方は見覚えがあった。

男達は土方の顔を見ると、衰弱しながらも睨み付けて毒づく。

「おのれ土方っ、このままで済むと思うなよっ」

定食屋と映画館で、銀時と土方の喧嘩に巻き込まれた見ず知らずの気の毒な侍なのかと思っていたが、そうではなかったらしい。

『あ?なんだ?最初から俺を狙って騒ぎを起していたのか?……や、でも……』

どの場所でも、先に喧嘩を売ってきたのは銀時だった。そしていつのまにか八留虎兄弟を巻き込み、結果的にやつらを倒してきた。

その理由は、続いて男たちがぼやいた愚痴が答えてくれる。

「おのれ、あの白髪頭めっ!われわれの邪魔をしおって」

三人がパトカーに乗せられるのを見送って、隣に立っていた沖田がにやりと笑う。

「…邪魔したんだそうですぜぃ」

銀時にとっても土方は気に入らない存在であるはずなのに、偶然を装い憎まれ口ばかり叩いて帰って行った。

「………ちっ」

忌々しく舌打ちをする土方。借りを作りっぱなしにするのはごめんだった。



銀色の玉に夢破れ、傷付いた心をなけなしの金で癒そうと団子屋にやってきた銀時は、店じまいをしている看板娘にぎょっとする。

「終わり?どうした、親父死んだんか?」

「生きてるわっ!今日はもう売り切れたから終いだ」

店の中から元気に怒鳴りつける親父は、銀時にとっての絶望を告げてくれた。

「ええぇぇっ、俺の分はぁぁ!?」

「ねーに決まってんだろ」

がっくりとうな垂れる銀時。寂しい財布の中身では団子ぐらいしか食えそうになかったのに。


ダブルパンチを食らってトボトボと万事屋に帰ってきたら、玄関に入ったとたん臭ってきた甘い香りに慌てて駆け込む。

テーブルの上には山ほどの団子が置かれていて、神楽が難しい顔をしてそれを睨んでいた。

「どうしたんだ、これ」

銀時の帰りを待っていたらしい新八がお茶を入れながら言った。

「実は、ここに来る途中に土方さんに会って“貰い物だけど食わないからやる”ってくれたんですよ」

「怪しいアル。毒でも入ってるんじゃねーアルかっ」

「そんな直接的な手は使わないよ、仮にも警察なんだから」

失礼なことを言う二人に対して、銀時は”理由“に思い当たりがある。

『借りを返したつもりなんだろーな、これ』

自腹で団子を買い占め、新八に白々しい演技で団子を渡し、屯所に戻ってすっきりした気になってる土方を想像すると笑ってしまう銀時だった。





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あの話を“銀さんが知っていて邪魔してるとしたら”と思って読むとと、萌えます(笑)
ただこの話は二人は、もう全然お互い好意なんてない状態です。
銀土の伏線風にしてみたのでした。



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