原作設定(補完)

□その8
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#79

作成:2015/06/17




かすかに聞こえる階段を上る足音に、銀時はジャンプを置いてソファから立ち上がる。

約束の時間から30分過ぎているが、忙しい土方にしては上出来だ。

玄関まで迎えに出ようとして話し声が聞こえることに気付き、誰かと一緒なのかと思ったが、声は土方1人分しか聞こえない。

チャイムを鳴らさず入ってきた土方の手には携帯電話。

「…だから、それは資料に書いてあるよ。ちゃんと読んでんのか、近藤さん……」

相手は近藤のようで口調は厳しいが、顔が『仕方ねーなぁ』という優しい顔をしている。

恋人との超久し振りの逢瀬に遅れておいてその態度はないだろう、と銀時がむくれているのを見て、

「…ああ、頼むよ。久し振りの休みなんだから、邪魔しねーでくれよな」

土方はそう言いながら銀時の頬に触れて微笑んだ。

そんなことで少し機嫌が良くなった銀時を置いてリビングに入ると、電話を切って、背伸びをしながら肩をコキコキと鳴らす。

「あ〜〜………疲れた」

溜め息を付きながら呟いた重〜〜い一言に、今日この時間を作るために土方がどれだけ忙しかったのかが詰まっていた。

「なんか飲むか?」

「ん〜〜……いい。先に風呂借りる」

刀をソファに立て掛け、携帯と煙草をテーブルに置き、土方は勝手知ったる我が家同然に風呂場へ向かった。銀時が準備していてくれてるのも分かっている。

残された銀時は、土方が風呂を使っている物音を聞いてから、テーブルの上を見た。

携帯電話。

たった今、この現状において、銀時の一番の敵はヤツだった。

土方がどんなに苦労して休みを作って会いに来てくれても、久々のエッチに夢中になってるエロい土方を堪能していても、あの電話がイラつく着メロを奏でたとたんに台無しになるのだ。

「………」

今までの苦い思い出に眉を寄せ、銀時は携帯電話を掴んだ。



さっぱりほかほかになって気分良く風呂から戻ってきた土方は、煙草だけがのったテーブルにすぐ気が付く。

知らん振りでテレビを見ている銀時に、静かな声で問いかけた。

「携帯は?」

「知らない」

「……出せ」

「知りません」

そっぽを向いたままの銀時に、『子供かっ』と内心イラつきながら辺りを見回すが、隠す場所などいくらでもあって探すのが面倒だ。

銀時が拗ねる理由も分かっているが、そんなことに付き合ってはいられない。

深く溜め息を付くと、刀と煙草を手に取り、

「じゃあいい。なにかあったら困るから帰る」

そう言って帰ろうとする土方を、振り返った銀時が叫び声で止める。

「わ〜〜〜〜っ!」

「……どこだ?」

「……冷蔵庫」

もう一度問い詰めるとあっさり白状した銀時に、土方は台所へ行って冷蔵庫から携帯を取り出した。

ひんやり冷たくなった携帯を銀時の顔に押し付け、顔をくしゃっと歪ませたのを見て小さく笑い、そのまま首に腕を絡ませる。

「こんなことしてる間に、どんどん時間が過ぎてくぞ?」

至極もっともなことを言う土方に『原因は全部お前にあるけどねっ!?』と銀時は思うが、それを言うのは時間の無駄だったのでやめた。

銀時に寂しい思いをさせているのが悪いと少しは思っているのか、やたら積極的な土方との甘い時間を堪能する銀時だった。





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10行ぐらいしか書いてないネタメモを頑張って引き伸ばしました(笑)
バカップルがイチャイチャしてるだけの話なんだけどね。
……いつもだけどね!(笑)


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