原作設定(補完)

□その7
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#63

作成:2015/05/28
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かぶき町をぷらぷら歩く銀時は不機嫌だった。

今日は土方と久々にデートの約束だったのに、仕事が入ったからとキャンセルされたためだ。

団子でも食って気分転換しようかと思ったとき、前方から見慣れた隊服と顔を見つけて目を輝かせ、すぐにがっかりと曇らせる。

「旦那、相変わらず暇そうですねぃ」

「沖田くん………とハゲかよ」

「露骨に嫌な顔せんでくださいよ」

「どうしたの?めずらしい組み合わせじゃねー?」

そう言われた沖田と原田がチラリと目を合わせたのを見逃す銀時ではなかった。

遠まわしに土方の所在を探ろうとした銀時に対して、言いよどむ事がある様子だ。

「なんかあったか?」

「………ま、あったと言えばあったんですがね」

「何?」

銀時の真剣な表情に、仕方が無いという顔をして沖田が話し出す。

普段土方の事となるとドS丸出しの怖い笑みしか浮かべない沖田らしからぬ表情だった。

「………昨晩、近藤さんと土方さんがお偉いさんとの接待で行った店で、地球人の体質に合わねー天人の食材を口にしちまったんでさぁ」

「!土方はっ!?」

「屯所で苦しんで……旦那には言うな、と……」

そこまで聞いて走り出した銀時の背中を見えなくなるまで見送ってから、

「………ぶははははははっ」

腹を抱えて笑い出す2人だった。



屯所にやってきた銀時は苦戦していた。

まず門番に「通せない」と言われて強行突破。

門番の騒ぎ声を聞いて玄関までの道に集まってきた隊士たちを撃破。

玄関から中に入り飛び掛ってくる隊士たちを蹴散らしたら、廊下に山崎が立ちはだかる。

「ジミィィ!てめーまで邪魔すんですかぁ?」

「旦那を通すなって命令なんです!ここは引き下がってくださいっ」

「できるわけねぇだろうがぁぁああ!!」

他の隊士たちよりは手こずらされたが、山崎も廊下に転がして副長室へ向かおうとする銀時の背後で、瀕死っぽい過剰演出の叫び声が響く。

「ふ、副長〜っ!旦那に…旦那に突破されましたぁぁああ!」

それは土方に警告するためのものだろう。

銀時が副長室の襖を勢い良く開けると、そこに土方の姿はなく、湯気のたったお茶と開け放たれた庭への障子。

たった今までここに居た土方は、銀時の来襲を知り庭に逃げ出したようだ。

「チッ」

『逃げる元気があるってことは臥せってるわけじゃねーのに、会えないのはどういうわけだ』

舌打ちして庭へ出ようとしたとき、押入れの襖から見覚えのある着物の端がはみ出しているのに気付いた。

庭に逃げ出したと見せかけて押入れに隠れる、という捻り技を出してまで銀時に会おうとしない土方。

「……」

眉間に深いシワを寄せた銀時は押入れにそっと近づき、

「土方ぁぁああっ!!」

と叫んで襖を開けると、そこには……。

「ふにゃーっ」

私服の土方が猫耳、猫手、猫尻尾を生やして、半泣きで怯えていた。

『可愛っ!!』



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