原作設定(補完)

□その6
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一月後。

真選組の飲み会に乱入した万事屋一行は、季節と場所を変えてもやる事は同じだ。

神楽と沖田は食べ物を争ってのバトル、新八と山崎はお互いの仕事・上司への愚痴。

ただ、銀時と土方は飲み比べにはならず、離れたテーブルで別々に飲んでいた。

銀時はまったく視線の合わない土方をチラリと見る。

あの願望全開のよこしまな夢を見た後“ひょっとして現実だったり?”なんて考えたりもしたのだが、数日後顔を合わせたときには道に落ちてるゴミを見るような目で見られ“やっぱり夢じゃねーかコノヤロー”と納得した。

それからは今まで通り…とはいかず微妙に距離を置かれている気がする。

“もしかしてアレですか?にやけてる?顔に出ちゃってる?…だってしょうがねーじゃん、たとえ夢でも超嬉しかったんだから”

自分にまったく気がない土方を好きになって早んヶ月。

避けられるよりはと気持ちを必死に抑えてきたけれど、あんな夢を見るようではそろそろ限界なんじゃないだろうか。

「どうした〜万事屋〜、飲んでるかぁ?」

隣に座っていた近藤が、減っていないコップにさらにビールを注いだ。

「飲んでる飲んでる」

「なぁ、なんでお妙さんは来てくれなかったのかなぁ?」

「知らねーよ。仕事だろ」

「お、俺より他の男のほうがいいのかぁ!?」

「だからそれが仕事だっつーの」

すっかり酔っ払って号泣している近藤に、銀時は前からちょーーっとだけ聞いてみたかったことを聞いた。

「なぁ。なんであんなにその気のない女がいいわけ?真選組局長となれば、名前だけでちょっとはモテんじゃねーの?」

「でへへへへ、やっぱりイケメンかな、俺って」

「誰もんなこと言ってねーよっ」

「真選組とか大層な肩書き貰ってもなぁ、俺たちゃ田舎侍だから言うほどモテないんですぅ」

確かにな、と男臭い集団を見渡し、1人だけ可憐に輝いて(るように銀時にだけ)見える土方のことを聞いてみた。

「副長さんは?モテんだろ?紹介してもらえば」

「いやいや、あれでトシは堅物だからな〜」

そう答えたので銀時がほっとしたのを知らず、近藤はにやりと笑って続けた。

「今まで浮いた話はなかったんだけどさ……ぷぷぷ……このあいだ外出先から外泊のお願いされちゃってさ。初めてのお願いだから俺は許しちゃったよ」

「……へえ……副長さんも隅に置けねーな。最近?」

「先月の末だったかなぁ。うん、確か月末の金曜日」

「…………」

あの日、仕事のあと依頼料で外食(いつのも食べ放題)でもと思ったのに、満席でずいぶん待たされた。

『今日は月末の土曜日だからね、給料日のあとはみんな考えること同じだよ』

空腹でうな垂れる神楽を新八がそう言って慰めていた。

だったらあの夢を見たのが金曜日だ。土方が外泊してて、エロい夢を見て、あれからなんだか素っ気なくて。

“本当に夢か?”

土方を探したが見当たらなくて銀時は宴会場を飛び出した。

出てすぐの廊下で電話中だったらしい土方は、切ったと同時に目の前に駆け寄ってきた銀時にぎょっとする。

「土方っ!」

「うわっ!なんだよ」

「お前………まじでか……」

「何がだよ」

「…銀さん…夢かと思ってたんだけど……」

全部説明するまでもなく、土方の顔が真っ赤に染まる。あの時腕の中で見た顔と同じだ。

「…………っ………だ、だから、何が……」

それでもしどろもどろに否定する土方に、銀時は嬉しそうに笑った。

「それじゃ説得力ねーだろーが」

「知らねーよ!」

なぜ無かったことにしたかったのか後々ゆっくり聞くとして、こんな顔をされたのではもう我慢しなくていいのかもしれない。

「あのさ、俺ずっとお前のこと……」





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……中途半端っぽいですか?(笑)
“酔った勢いでやっちゃった二人”は好きすぎて色々あるんですが、
悩むのは難しいのでやっぱり気楽にいきたいですね。



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