原作設定(補完)

□その6
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#56

作成:2015/05/20
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そっと布団を抜け出しすばやく身支度を整えると、振り返り、違和感がないことを確認して土方は万事屋を出た。

昨日のことを思い出し頬が熱くなるのを、早朝の冷たい空気で冷やす。

本来居るはずの無い土方が足音も立てずに立ち去ると、いつもの万事屋に戻った。

何もなかったかのように。



昨夜、土方は酔った勢いで銀時と身体を重ねた。

そう言い切ってしまうには少し語弊がある。

土方はそれほど酔っていなかったし、むしろ銀時をそそのかして酒を飲ませ誘い込んだと言っても良かった。

タダ酒となれば仲の悪い相手からの酌も浴びるほど受けてくれたから、酔わせるのは至極簡単だった。

銀時の手も指も唇も思いの他優しくて……。

「……っ!……」

リアルに思い出してしまい、土方は副長室の机に額を思い切りぶつけ、意識を正気に戻す。

遂げられるはずのない銀時への想いに変化をつけたくてあんな手段に出たのに、余計に深くなってしまうなんて、馬鹿な話だ。

『……じか……』

一度だけ名前を呼ばれた気がした。

“そんなはずねー……俺だって分からなかったから…あんな……”

また浮かんできた記憶を振り払う。

“あいつは覚えてないはずだ。そのほうがいい”



一方、万事屋の銀時は、お昼前に出勤してきた新八に怒られてようやく起床。

「まだ朝は寒いんですから、裸で寝てたら風邪引きますよ」

年頃の女の子もいるのに、とぶちぶち言っているが、どこに?と聞き返してやりたい。

胸元を掻きながら辺りを見回す。いつもどおりの自分の部屋だ。

昨日土方と飲み屋で会って、奢ってくれるっていうからしこたま飲んだことは覚えてる。

おそらく、帰ってきて服を全部脱ぎ、着替えるのが面倒でそのまま布団で寝たのだろう。

だが、ここに土方も居た気がした。

“……夢か?……だよな、あいつがあんなに積極的でエロエロなわけねーよな……”

掛け布団を抱きし締めて寝転がり、

“……にしても……あいつ……可愛かったなぁ……”

昨夜の夢を思い出して不気味な笑い声を上げる銀時に、新八が再度怒鳴った。

「ケツ丸出しで笑ってないですぐ起きろ!午後一で依頼があるでしょうがっ!!」

しぶしぶ起き出す銀時だった。



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