原作設定(補完)
□その6
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その日の夜、チャイムを鳴らさず万事屋に駆け込んできたのは今度こそ本物の土方。
「万事屋ぁぁああ!!」
「土方さん、いらっしゃい」
「いらっしゃ〜い、多串くん」
土方の怒りのテンションとは裏腹に、新八は普通に、銀時は嬉しそうに迎える。
それが余計に腹立つ土方は、銀時の前のデスクにバンッと両手を付いて詰め寄った。
「いらっしゃいじゃねえ! てめえ、なんで止めなかった!!」
「何を〜?」
「トッシーの買い物に付き合っただろ!!部屋にごっそりフィギュアが増えてて金が……くっ」
『また使われちゃったんだ』
以前にも同じ事をやっていたし、預金の残高がない苦しみを知っている新八がもらい泣きする。
一方銀時は鼻をほじりながら意にも介さない様子だ。
「何で俺だよ」
「てめー以外いねーんだよ!!」
シラを切る銀時の目の前に、細長い紙を叩きつけてやった。
それはファミレスのレシートで、2名様、ハンバーグセット、それのあとに長々と続く甘味、甘味、甘味。
「土産まで買いやがってっ!」
そう言われて、食後のデザートを楽しんでいた新八と神楽は残りを急いで口に入れる。
「神楽ちゃんおいしかったねっ」
「うまかったアル」
証拠品は無くなったが、銀時は開き直って答えた。
「トッシーが依頼の報酬だって言ったんですぅ、俺が悪いんじゃないですぅ」
「だから依頼を止めろよ!」
「トッシー一人で行かれるよりいいじゃねーか。いまどきのアキバは危険だぞ〜。かわいい顔したトッシーが一人で歩いてたらどんな魔の手が伸びることやら」
至って真面目に言ってるらしい銀時に、新八は『アレが可愛く見えるんだ』と思ったが、土方はそんなに悪い気がしなかったらしく黙ってしまった。
が、そのままうやむやになる前に、土方はもう一つ言いたいことを思い出した。
「……もうひとつあるぞ」
取り出したのは何やら絵が描いてある白い紙だったが、その絵には見覚えがあった。
「トッシーの原稿か?相変わらず下手だな〜」
「こっちだ」
トッシーが描いた同人誌用の原稿に銀時が吹き出していると、土方は次のページをめくってやる。
そこには描き半端の空白部分に、“坂田氏(ハート)”とか、相合傘に“坂田氏、ぼく”と書かれていた。
土方が怖い顔で見下ろしている。
「てめえ、何をした」
「何もしてません」
「……………」
見詰め合ったままずーーーっと動かない二人に、何かを察した新八が慌てて立ち上がった。
「神楽ちゃん、ここはうるさくて眠れないからうちにおいでよ」
「明日の朝ごはんは“ご飯ですよ”にしてくれるアルか?」
「じゃあ、僕たち帰ります。また明日っ」
2人と1匹が出て行って気配が無くなると、銀時がぽつりと呟く。
「チュウ以外」
「してんじゃねぇかあああぁぁぁ!!」
帰宅途中の新八は、背後で小さく地響きを聞いたような気がして、明日の心配をしていた。
おまけ
「だいたいさ、誰のせいだと思ってんの。仕事仕事仕事でずっと会ってなかったんですけど」
「……仕方ねーだろ、後片付けが…」
「分かってますぅ。だから銀さんおとなしく待ってたでしょ。そこにトッシーがニコニコしながら来るんだもん、触りたくなっても仕方なくね?」
『…トッシーは俺じゃねー……とか言ったらコイツ喜ばせるだけだよな……』
「で、今日は?時間あんの?」
「………少しなら」
「上出来っ」
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トッシーネタでした。
前に書いたネタだとちゅーで戻っちゃうんですけど、コレはコレでお願いします。
…銀さんカッコいいなぁ…土方可愛いなぁ…(アニメ見てる)