原作設定(補完)
□その6
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#57
作成:2015/05/21
市中見廻りの最中に、土方十四郎は深い溜め息を付いた。
一緒に出たはずの沖田が例のごとくいつの間にか姿を消していたせいではなく、もう一月近く銀時に会っていなかったからだ。
『んでこんな近くに住んでるのにここまで会えねーんだ』
イライラしながら煙草をふかす土方の形相は鬼の副長と呼ばれるに相応しいが、考えてることはただの色ボケ。
隊士たちもギリギリのところを交代で休ませている状態では、恋人に会いたいという理由で屯所を留守にできないというのが土方の主張だ。
そうは言っても隊士たちも、近藤も沖田も上手いこと息抜きできているはずなのだから、融通の利かない自分が嫌だった。
それに、会おうと思えば少しの時間は取れるのだが、無理をすると後でバタバタしたり、途中で呼び戻されたり、
『…帰りたくなくなっちまうしな…』
そう思うと連絡できないでいた。
『こういうときアレがあったらいいのに…えっと、なんだっけ…あの…』
ぼんやりしていたところを携帯のバイブで正気に戻され、短くなった煙草を消して電話に出ると屯所からの呼び出し。
『今日も会えなかったな』
もう一度溜め息をついていたところを、横から伸びてきた腕に路地裏に引っ張り込まれた。
その腕も、抱き締めている身体も、久し振りすぎて胸が苦しい。このままずっとこうしていたい。
が、真選組副長としての自分が警鐘を鳴らす。
「……おい」
「5分だけ」
土方の苦労を分かった上で制限時間を設ける銀時に、土方も両腕を背中に回すことで答えた。
「……時間とれなくて、悪い…」
「…いいよ………って言うしかないでしょーがコノヤロー」
乱暴な口調で言いながら銀時が嬉しそうに擦り寄ってくるのを愛おしく思いながら、先ほど考えていた“アレ”を思い出す。
「……どこでもドアがあったらいいのにな」
『そうしたら毎日少しでも会うことができるのに』
銀時が吹き出した。
「……副長さんらしからぬアイテムがでたな。ドラえもん知ってるんだ」
「それぐらい知ってら」
もちろん代表的なアイテムしか知らないのだが、銀時ならマニアックなものまで知ってそうだと振ってみたら、
「お前は、何があったらいい?」
「…俺は、いいや」
予想外にそう答えて、抱き締める腕に力を込める。
「お前が会いに来てくれるんだろ、だからいい」
土方がどこでもドアを何のために使ってくれるのか分かっていてそう答えた銀時。
嬉しくて笑ってしまいそうになるのを我慢しながら、
「……マヨを買いにいくためだ、バーカっ……」
とお約束な言い訳をしてしまう土方だった。
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短っ!
くどいようですが漫画用のネタばかりなので、
漫画なら5ページぐらいのネタは文章にすると超短い。
もうこんなんばっかりです。
ドラえもんネタになってしまったのは、アニメのせいじゃありません(笑)
(黒子の太助、2話目)
土方が銀さんを超好きだと、銀さんが嬉しいので私も嬉しいです。