原作設定(補完)

□その5
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#49

作成:2015/05/08




気分が良かった。

酒が美味くて、つまみが美味くて……隣に土方がいて。

あれ?いつの間に隣に?

こいつも酔ってんのかな、じゃなきゃ俺の隣になんていねーよな。

「んだ?もう飲めねーのかコラァ」

なに可愛く笑ってんですかコノヤロー。

俺がお前んことどう思ってるのか知りもしねーで。


帰り道が途中まで一緒だって、並んで帰っちゃったりしてますよ。

なんか良い事すくめすぎて、これ夢じゃね?

「万事屋……」

「ん〜?」

「……俺……てめーが…好きだ」

ちょっ、まじでか!

「俺も好きだよ」

そう答えたら、土方は照れたあと嬉しそうに笑った。

あー、やっぱ夢だわ。

「な〜んてな、ないない、あり得ねーだろ」

途端、腹にすごい衝撃を受けて目の前が真っ暗になった。



「ぐほぁぁっ!!」

「銀ちゃん、早く起きるネ!」

目を覚ましたら神楽が腹の上に乗っていた。あの衝撃では飛び乗ったに違いない。

見回すと自分の部屋でちゃんと布団に入って寝てたようだ。

やっぱりあれは夢だったんだな。

飲みに行ったのは確かなんだけど……

「神楽ぁ、俺昨日どうやって帰ってきた?」

「知らない人が送ってきてくれたネ」

神楽が知らない奴っていうと、酒場で会った奴かな。

店で酔っ払ったところを運んでくれたのかもしれない。



それにしても、夢っていうのは残酷なもんだ。

いくら叶わぬ願いとはいえ、嬉しくなるじゃん、正夢にならないかな、とか思うじゃん。

あの綺麗で生意気で可愛くてニコ中でマヨラーの土方に恋をしてから早1年。

偶然会えないかなって、昼間から町内ぷらぷらしてる俺っていじらしい。



とか思ってたら、急に全然会えなくなったんですけどぉぉ!?

今まで2週間一度も会えなかったことなんてなかったのに。

「旦那、こんにちは」

ちっ、ジミーか。別に会いたくない奴には会うのによ。

「……なぁ、副長さん忙しいの?」

「忙しいですね。屯所に篭りっきりです」

「そうなんだ」

「それでも以前は息抜きに出歩いてたんですけどね。おかげで…」

団子屋でサボってる沖田君を発見。コイツは沖田君を探しに来たようだ。

「沖田隊長〜、マジメに見回りしてくださいよ」

「うるせー。鬼の見てないときぐらいダラダラさせろや」

「納税者が見てます」

沖田君、俺を見てお約束を言いやがる。

「旦那は税金払ってねーでしょう。だからいいんでぃ」

「払ってますぅ……消費税ぐらいは」

「そういや、旦那。この間はあのあとどうしたんですかぃ?」

「……この間?」

「酔っ払ったあのヤローが邪魔なんで、偶然会った旦那の隣に捨ててった後でさぁ」

「あ!店を出たとき副長と一緒だったのに一人で帰ってきたと思ったら、やっぱり置いてきたんじゃないですかっ」

「もう時効でぃ」

……え?なに?この間の夢のこと?

……夢じゃなかったのぉぉおお!?



俺はダッシュで家まで戻り、ソファーで酢昆布食ってる神楽を問い詰めた。

「神楽ぁっ!!このあいだ、俺を送ってきたの土方じゃねーのかっ!?」

「知らない人が送ってきてくれたネ」

「知らない奴ってどんな奴だよっ」

「知らない人が送ってきてくれたネ」

「コピペしたみてーに繰り返してんじゃねぇよっ。ちゃんと俺の目ぇ見て言ってみろ?あ?」

「守秘義務ネ、信用第一アル」

「ちっ、やっぱ何か隠して………つーか、お前…最近、酢昆布食いすぎじゃね?そんな金どこにあった?」

「買って貰ったアル」

「…誰に買ってもらった?」

「トッシーアル」

やっぱりかぁぁああ!!



「神楽ちゃん…信用第一じゃなかったの?」

「そっちは口止めされてなかったヨ」

「そうだけど…」




「なんだヨ、マヨラー、こんな遅くに」

「おら、道に落ちてたから届けてやったぞ」

「銀ちゃん、酔ってるアルか……別に拾ってこなくても良かったネ」

「……俺が送ってきたって言うなよ」

「なんでアルか」

「あー…俺に送ってもらったとか知ったら…こいつのプライド傷つくだろーが」

「銀ちゃんそんなにバリケードじゃないネ」

「………酢昆布買ってやるから」

「絶対言わないアル!」




街中で偶然会うのは無理みてーだから、屯所に乗り込んでやった。

副長室にいきなりやってきた俺を、土方はいつもみてーに眉間にシワ寄せて睨んでくる。

「んだ、勝手に入ってくんじゃねーよ」

相変わらず憎たらしっ!

……だけど、あれが夢じゃないなら……

土方の前に正座して、ずっと溜め込んでいたことを言ってみた。

「……俺さ……お前のこと、ずっと好きだったんですけど」

びっくりした顔してから、更に深く眉間にシワを寄せた。怒っても綺麗な顔してら。

「……てめー……あり得ねーって言っただろうがっ!!」

「……あ〜〜〜っ、やっぱマジだったんだっ、良かったぁぁっ」

嬉しくて抱き締めたら、ぎゅうぎゅう押し返してくる腕が熱かった。

あの日見た照れた顔と同じ顔してる。

「全部話すから聞いてくださいコノヤロー」

夢じゃなくて良かったぁ。





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夢オチも、夢オチじゃなかったオチも、
定番だからこそ、やらなくちゃね!
銀さん一人称は初めて書いたけど…
全部なりきるのは難しいね…
変なところがあっても緩く見逃してください。



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