原作設定(補完)

□その4
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#38

作成:2015/04/29




急に降り出した雨に、銀時は雨宿りできそうな場所を見つけて駆け込んだ。

天気予報通りだったが、降る前に帰ってこれるだろうと傘を持たずに依頼に出たら、時間を押してしまったのだ。

一人で雨宿りなんかしていると思い出してしまう。


まだ一人きりだった子供のころ、じっと息を潜めるようにして雨宿りをした自分。

そして、松陽に会ってからの自分。

友達と遊んだあとに雨に降られて雨宿りしていると、松陽が迎えにきてくれた。

並んで傘を差して歩いていたら、教えてもらった歌を思い出して声に出さないよう口ずさむ。

“♪雨、雨、降れ、降れ…先生が〜、蛇の目でお迎え、う…”

ちらりと見上げた銀時に、松陽が笑った。

“…嬉しいな〜♪”



ぼんやりしてたな、と頭を掻く。

昔のことを思い出すのは年だからなんだろうか。

足音がしてそちらを向くと、傘を差した土方が立っていて、微妙な顔をしているってことは迎えに来てくれたらしい。

年だからじゃない、幸せだからだ。

満面の笑みを浮かべた銀時は、土方が差し出した銀時の傘を無視して、土方の傘に入った。

「雨、雨、降れ、降れ、土方が〜、蛇の目でお迎え、嬉しいな〜♪」

「自分の傘差せよっ」

大きな声で歌いながらがっちり組んだ銀時の腕を、そう言いつつ振りほどかない土方だった。




おまけ(土方side)

万事屋にやってきた土方を新八が迎える。

「土方さん、いらっしゃい。雨降ってるんですか?」

「ああ。……アイツいねーのか?」

いつもなら来客が土方だと知るとすぐに顔を出すもふもふが来ない。

「ちょっと仕事が押したみたいで。もうすぐ帰ってきますよ」

「そうか」

中へ入ると、ソファーに座った神楽が即座に言った。

「でも銀ちゃん傘持って行かなかったネ。きっと雨宿りしてて帰ってこれないアルヨ。迎えに行けよ、ニコ中」

「……なんで俺だよ……」

そう思って新八を見ると、へらっと笑われる。

「土方さんが行ったほうが喜ぶと思います」

「………ちっ」

濡れた上着を脱ごうとした手を止めて再度着直すと、しかたねーなという風な顔で出て行く。

『行くんだ』と笑ってしまう新八だった。





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私には珍しい松陽先生が出る話。
あの二人がイチャイチャしてるだけで幸せなので、
松陽先生…邪魔(笑)
いや、意外と明るい人だったので、銀さんの幼少時代は楽しかったでしょうけどね。
銀さんにはいつも笑ってて欲しいよ。



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