原作設定(補完)
□その3
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銀時が目を覚ますと部屋には誰もいなかった。時計は9時半を過ぎたばかり。片付いた部屋に、飾り付けだけ残されていてよけいに寂しさを誘う。
「なんだよ〜、みんな帰りやがって。誕生日なのに銀さん一人にするなんてひでーんじゃねーの」
ソファーに寝転び文句を言ってみたら返事が返ってきた。
「なに一人でブツブツ言ってんだ」
「……ひ、土方っ?……」
入り口に隊服の土方が立っていて、あれ?夢か?、と思いながらあわてて体を起こした。瞬きしても消えないので本物のようだ。
「誕生日だってな」
「ええっ、な、なんで?」
「メガネに聞いた」
だから早い時間に終わって、おまけに神楽まで連れて帰ったのか。
余計なことをした新八に銀時が不満げな顔をしているから、目の前に白い箱を置いてやった。
「ほら。もうたらふく食ったろうけど」
「……なに?」
「ケーキ」
「……お前が自分で買ったの?」
「たりめーだろうが」
パッケージから、若い女の子に人気のお店のものだと分かった。
隊服のまま女の子ばかりの店内でこれを買ってきてくれたのかと思うと可笑しくて、嬉しくて、笑ってしまう。
「……そっか」
そんなふうに喜ばれると、会いたいのを我慢している姿を思い出して切なくなった。
嬉しそうに箱からケーキを取り出す銀時の隣に座る。
「何かして欲しいことねーか?」
「? ケーキ貰った」
「何でも1つだけ、聞いてやる」
銀時の寂しさを知っていて埋めるものをくれようとしている。
それを感じた銀時は、
「………じゃあ」
手を伸ばしてその優しい心ごと強く抱き締めた。
本当はもっと欲しいものがあるんじゃないか?
そうは聞かず、土方も腕を回して抱き締める。
「こんなんでいいのかよ」
「最高にぜいたくでしょ。忙しい副長さん独り占めしてるんだから」
傍らで眠る銀時に、土方はそっと囁いた。
「二番が幸せなら、俺はもっと幸せだよ」
銀時の言葉を思い出し、一番を大切にして幸せでいられるように、土方の幸せを想う銀時が幸せであるように、願う。
「誕生日おめでとう」
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メモにはオチが書いてなかったので後で決めました。
まぁ、イチャイチャにしかならないんですけどね。
誕生日ネタは楽しいですが…
実際に誕生日ってラブイベントか?
と思ってしまう冷めた私(笑)