原作設定(補完)

□その3
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副長室に運ばれ布団に寝かされた土方の横で、銀時はその寝顔を見つめる。

ムニャムニャと整った顔をゆるめて眠る土方は今まで見てきたそれとは違っていて、なぞるように指先で触れてみた。

「…ん…」

ゆっくりと目を開け長い時間、目の前にいる銀時を見つめていたが、覚醒した途端に眉を寄せた。

「なに…してんだ…てめー」

さっきまであんなに可愛かったのに、と思いながら教えてやる。

「酔っぱらって倒れたんで看病?みたいな」

「…………っ!!!」

すぐに現状を悟って真っ赤になる土方。

酔って記憶がない→限度以上の酒を飲んだ→病気の発症。その上で赤くなっているということは、銀時を選んだことに自覚があるらしい。

「土方くん、俺が好きなの?」

「……っ……すまねー……気持ち悪い思いさせて……」

腕で顔を被ってしまったがその指が震えてる。ごまかすことができないほどいっぱいいっぱいのようだ。

「好きなの、って聞いたんですけど」

「…あいつらに聞いたんだろ……だったら分かんだろうが…」

銀時は目を隠す腕をどけて直接見つめた。いつも自分を睨むか反らすかしかしていなかった瞳が真っ直ぐ見ている。

「好きなの?」

「……っ……好き、だ……」

その一言を口にするのが精一杯みたいに歪んだ顔が、

「俺も」

銀時がそう答えたことで、きょとんとしたマヌケな表情になったので笑ってしまった。

「…なっ……何を…」

「会えばむかつくけど会わねーと寂しい。偶然会えねーかって姿ばっかり探しちまう……だろ?」

「……」

「俺もそうだからな」

銀時の告白に、土方はきっぱりと断言した。

「嘘だっ!」

「おめっ、信用ないのは知ってるけどこんな嘘ついてなんの得があんだよ」

「俺をからかって面白…」

うるさい口は塞げ、少女漫画の定番を実行して銀時から唇を重ねた。

ここで赤くなってくれれば可愛いげがあるのだが、銀時が少し身体を離すと哀れんだ目で頬を叩いてくる。

「……万事屋…お前酔ってんだろ。しっかりしろ、目ぇ覚ませ」

「お前に言われたくねー。酔った勢いで公衆の面前で熱烈ちゅーかましといて。どんだけ恥ずかしかったと思ってんですかコノヤロー」

眉を寄せて黙ってしまった土方は両手で顔を被った。

「土方?」

「頭がクラクラしてこれ以上考えんの無理」

頭を使いすぎたこともあるだろうが、まだ酒が残っているだから無理もない。

「このまま寝たら夢だと思っちゃうんじゃないの?」

「…夢だし…」

「まだ言うか。……じゃあ、目が覚めてすぐ現実だって確かめられるように、添い寝してやるよ」

隣に寝転んだ銀時に、土方が真っ赤になって複雑な顔をしている。お互いウブな子供じゃないだけに、余計な心配をしたらしい。

それを察して銀時は笑って言った。

「いやいやいや、いくらかぶき町一番のモテ男・銀さんでも、告白からえっちまで一気にフルコースなんて勿体無いこととしないですぅ」

その台詞に納得できない部分がいくつかあったが、土方は再び襲ってきた眠りに目を閉じた。

あの様子では、起きて俺の姿を見ても信じてもらえるか微妙だなぁ、と思う銀時だった。





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キス魔ってのもありがちな設定ですね。開き直り。
続きがあるんですが字数超えてしまい、
途中で切れたから丸々カット。
たいした話じゃなかったし(笑)


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