原作設定(補完)

□その1
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♯8

作成:2015/04/11 修正:2015/11/28




「…分かった、すぐ戻る」

そう言って携帯を切り、さっさと身支度を整え始める土方をベッドの上で見つめる銀時。

『2週間ぶりなのに…』

「じゃあな。後で連絡する」

「……」

「おい」

そっぽを向いた銀時にイラついた声をかけるが返事はなく、土方は溜め息を着いた。

「しかたねーだろ」

「またゴリがいねーだの、お妙に振られただの、そんなだろ」

「……局長と副長の両方で屯所を留守にはできねーんだよ」

土方としても、近藤がもっとしっかりしてくれたらいいだけだ、とは分かってる。

女1人のために仕事が疎かになるのを苦言しているが、あんな風に夢中になっているのを応援してやりたいとも思ってしまうのだ。

土方にとって一番大事なものはなにか。銀時はそれを分かっていると思っていたが、今日は納得していない顔で呟く。

「近藤と俺、どっちが大事なんだよ」

「近藤さん」

きっぱりと答えた土方に、『分かってるけどねっ』と思う。分かってるのに聞いてしまった。ちょっとぐらい躊躇って欲しかった。

銀時が口を滑らせてしまった禁句に、土方は落ち着いた声で言い捨てる。

「最初に言っただろ。それが不満なら俺なんかやめとけよ」

そしてそのまま出て行った。

その姿を見送ることもせずに、銀時は寝心地の良すぎるベッドに一人で横たわり大きく息を吐いた。




『俺は真選組が一番大事だ。他の何とも比べることはできねー。それが不満なら…始めないほうがいい』

『大丈夫、銀さん気は長いほうだからっ。だから、付き合ってくれませんかコノヤロー』

『…上等だコラァ』




副長室で書類を書く手を止め土方はカレンダーを見た。

あれから2週間、銀時から連絡もなければ、見廻りで偶然会うこともなかった。

今度こそ本気で怒らせたかな。我慢ばっかりさせてるのに優しい言葉もかけられない。



最近元気がない土方に、近藤が飲みに行こうと連れ出した夜ばったりと銀時に会った。

「…万事屋」

「…っ…」

久し振りに会えて土方は笑おうとしたのに、銀時はきゅっと目を歪め背中を向けて走り出した。

反射的に追いかける。近藤が何か言ってたが放って、逃げる後ろ姿に手を伸ばした。

「万事屋っ」

腕を掴んで引っ張るとようやく足は止めたが、顔を背けたままこっちを見ない銀時。

もう顔も見たくないのか、そう思うと胸が痛んだ。それがこんなに辛いなんて。

「ホントにやめるのか?」

「……」

「…だよな…俺なんて面倒くさいよな。お前が嫌になっても仕方な…」

「違うっ!」

ようやく振り返った銀時の顔は真っ赤だった。

「…怒ってんのか?」

「恥ずかしいんですぅ!」

「?」

「あんなこと言うつもりじゃなかったんだよっ!」

きょとんとしている土方に、全部白状しないと納得してもらえなさそうな空気を感じ、銀時は苦虫を噛み潰したような顔で気持ちを吐き出した。

「近藤を大好きな理由も、仕事頑張ってんのも、けっこう無理して俺と会う時間作ってくれてんのも分かってんのに…なんかモヤモヤして言っちまったんだよっ!……合わせる顔ねーだろ。反省ぐらいさせろよ」

よっぽど恥ずかしいことだったのか、銀時は真っ赤になった顔を両手で覆っている。

反省すんのは俺のほうだろ。

胸が痛い。さっきとは違って嬉しくて。腕を伸ばすと俯いたままの身体をぎゅっと抱き締めた。

「もういいから反省し終わってくれ。じゃねーと俺が…寂しいだろ」

腕の隙間から土方を見た銀時は、真っ赤になってまで言ってくれた本音に泣きたいぐらい嬉しくなったが、それは我慢してぎゅーっと抱き返してやる。

「お前がそこまで言うなら…反省したから許してくださいコノヤロー」

「しょーがねーなコラァ」



おわり



………土銀っぽい(笑)
銀土はねー、ハニーのほうが有能で働き者で男前なのがイカンね。
いや、私はヘタレ攻好きなので、ダメな銀さんでいいんだけど。

銀時「ダメって言うなぁあ!」



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