原作設定(補完)

□その52
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#520

作成:2020/02/09




2月14日、バレンタインデー。

毎年万事屋で誰かがチョコを持ってきてくれるのを待っている銀時だったが、毎年誰も来ないので今年は自ら外に出てみることにした。

すると、

「銀さーん、義理でよければ上げる〜」

とか、

「万事屋さん、この間世話になったから、余りものでよければチョコどうぞ」

なんて、義理丸出しのチョコを何個か貰えたではないか。

義理でもなんでも貰えたら嬉しいもので、銀時はほくほく顔でもうちょっとブラついてみようかな、なんて考える。

すると正面から嫌な顔が嫌な制服を着て歩いてくるのが見えた。

せっかくの良い気分が台無しだ、と思っていたら、近づいてくるヤツにおかしなBGMが付いていた。

ガラガラガラと低く鳴り響く音の正体を見て、銀時は深く眉間にシワを寄せる。

山崎が引いているリヤカーの音だったのだが、その中にはカラフルなパッケージの小箱が山ほどの積まれていた。

そう、銀時が欲しているアレだ。

銀時の側まで来た土方は銀時を見て足を止める。

素通りしてくれればいいのに喧嘩になると分かってても、しないのが2人の"関係性"というヤツだ。

「よう、あいかわらず暇そうだな」

「……おめーはお忙しそうで何よりだよ」

「今日は仕事じゃねーんだよ」

「あ?」

「長官命令でな……ファンサービスというやつだ」

それが従者付きでチョコを貰いまくっている理由らしい。

嫌々渋々という顔で溜め息をついた土方は、ふと銀時の懐からチラ見えしているチョコを見た。

「てめーもチョコ貰えたんだな。良かったじゃねーか」

「どこかの誰かさんと違って義理チョコですぅぅぅぅ」

「……義理なのにそれしか貰えてないのか?」

「悪かったな!! 世の中不景気なんだよ!! 義理でチョコ配ってる余裕は庶民にはないですぅぅ!!!」

ものすごく説得力のある心からの叫びだったのか、土方は言い過ぎたと反省したらしい。

「そうか……悪ぃ」

「…………え……わ、分かればいいけど……」

「あ、そうだ……しょうがねーから、これ……」

そう言ってちらりとリヤカーのチョコを見た土方に、

『え? それくれんの?』

と期待した銀時だったが、土方は懐に手を入れてそこから取り出したものをぺちんと渡してきた。

「くれてやらぁ」

「………1つかよ! しかも普通の板チョコじゃねーか!!」

「てめーには充分だろ。じゃあな」

どうやらしゅんとしたのはフリだったらしい。

にやりと笑って土方は山崎とリヤカーを引き連れて、またファンサービスを続けに歩いて行ってしまった。

その背中を見送り、銀時はものごっさ悔しそうな顔でチョコを握り締め、

「あんの嫌味ヤローがぁぁぁぁ! あんなヤツに貰ったチョコなんて……チョコなんて……」

投げ捨てようとするが根っからの貧乏性のために手が動かない。

ふぅと溜め息をつき、それを懐にしまう。

「チョコに罪はねーよな、うん」

そう言って満更でもない笑顔を浮かべるのだった。



一方、土方のほうは歩きながら小さくガッツポーズ。

それを見ないフリした山崎が、

『あ〜あ、副長も素直じゃないな。ずっと前から買って用意してたチョコなのに、もうちょっと可愛く渡せないもんかなぁ』

と溜め息をついたことは誰も知らない。


ハッピーバレンタイン!


 おわり



大昔にメモったネタんだけど……書いてない……かな?
メモは書いたものを色分けしてるんだけど、色なしだったから……
でも色変え忘れただけかもしれない……
しかし確認するのは大変なので……もういいや。
改めて書いたのには違いないので……そう、リメイク!(笑)
ってことで、スルーしてください。

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