原作設定(補完)

□その41
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#401

作成:2018/09/20




秋めいて夜は冷え込むようになった夜。

珍しく懐は暖かかった銀時は、居酒屋で良い気分で酒を飲み、酔っ払って良い気分で店を出た。

なのに万事屋までの帰り道、突然目の前に現れた者に胸倉を掴まれた。

相手は顔を合わせれば喧嘩ばかりしている真選組の鬼の副長。

土方は銀時以上に酔っているらしく、顔は真っ赤で目は虚ろで足取りもフラフラしている。

だがしっかりと銀時を見て言った。

「万事屋ぁぁ! お前が好きだ!! 俺と付き合ってくれぇぇぇ!!」

青天の霹靂な告白で、せっかくの酔いが一気に醒めてしまう。

そんなこと考えたこともない相手だったからもあるが、せめて静かなところで2人きりだったら落ち着くなり笑い飛ばすなりできたかもしれない。

だがここは、午後8時、書き入れ時のかぶき町のど真ん中。

かぶき町の有名人の銀時が、江戸の有名人の真選組副長に熱烈な告白をされたことを、大勢の人間が見ていた。

そいつらの驚いた顔が滑稽で、現状を把握することに集中できなかった。

そうしているうちに一緒に飲んでいたらしい真選組の連中が慌ててやってきて、銀時から土方を剥がすとぴゅーっと逃げるように姿を消してしまう。

あまりにも素早くて、あっという間に何事もなかったかのようになってしまった。

残された銀時も見物人も、首を傾げながら解散するのだった。




翌朝、二日酔いの頭痛で目覚めた銀時は、

「銀さん!! 土方さんに告白されたってマジですか!!」

という新八の怒鳴り声で頭を抱える。

「……な、なんで……それを……」

「街中の噂ですよ。じゃあ、ホントに告白されたんですね……あの土方さんが銀さんを……へえ……」

新八に至極納得できないという顔をされているのが気に障るが、無理もないと自覚はある。

頭を擦りながら銀時はソファにぐったりと座って言った。

「……何かの間違いか冗談だよ……あの土方くんが俺を……とかあるわけねーだろ……」

「そうなんですか?」

「ベロベロに酔ってるっぽかったし……罰ゲームかもしんない……」

本人がそう言うのだからそうなのだろう、と新八も納得したようだ。

「ですよねー、有り得ないですよねー」

だがそれを否定したのは神楽だった。

「本気アル」

「……え?……」

食欲のない銀時をほったらかしにして朝食を取っていた神楽は、3杯目のご飯をよそいながらにやりと笑う。

「ニコ中はずっと前から銀ちゃんのこと好きだったアル」

「えええ!? そうなの!? 何で知ってるの神楽ちゃん!」

「女の勘ネ」

自信満々に言われたが、人生経験から言っても女としての発育から見てもいまいち信用しがたい。

だが神楽の自信満々には根拠があったようだ。

「銀ちゃんと喧嘩したあと、いつも振り返って寂しそうに見てたアル。それから銀ちゃんが団子食ってるのをこっそり見てたこともあるネ。それから下の道を何往復もウロウロしてたこともあったヨ」

「……神楽ちゃん。それは女の勘じゃなくて、事実から鑑みた予想ってやつじゃないかなぁ。何で知ってたのに言わなかったの」

「ニコ中のプリペイド情報アル」

「……プライベートね」

今度こそ二日酔いもすっかり醒めた銀時が、ソファに座ってぐったりと肩を落とす。

土方のそんな様子などまったく気付かなかった。

まあ、土方の性格からして銀時には気付かれないように必死で隠していただろうが。

だが苦悩する銀時にちっとも構わない2人が興味津々に顔を寄せてきた。

「それで、銀さんどうするんですか?」

「銀ちゃん、どうするアルか?」

「…………どうするって?」

「土方さんと付き合うんですか?」

「ニコ中と付き合うアルか?」

2人は声を揃えて尋ねるが、心配しているというより面白がっているようで、銀時はふかーーーーーーい溜め息をつくのだった。



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