原作設定(補完)
□その35
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#341
作成:2018/01/24
山崎が屯所の中を走り回っていた。
潜入捜査中に押収してきた薬品を持ち出した不届き者を探すためだ。
「あ!副長!沖田隊長見ませんでしたか!?」
「……さっきは食堂にいた。なんだ、また何かやらかしたのか」
「そうなんですよ!食堂ですね!行ってみます!!」
出くわした土方に情報を貰い食堂へ向かって走っている途中で、コソコソ隠れている沖田を見つけた。
急ブレーキを掛けて立ち止まった山崎が声を出す前に、沖田に捕まって物陰に引っ張り込まれる。
「な、なにするんですかっ」
「しーっ、黙ってろ、見つかるじゃねーか」
その視線の先にいるのは土方で、どうやら隠れて追跡しているようで、山崎は顔を蒼白にする。
「お、おお、沖田隊長ぉぉぉぉ! ま、まさか、もう……」
「飲ませた」
「な、なんてことしてくれてんですかぁぁぁぁ」
けろりと答えた沖田に、山崎はがっくりと肩を落とした。
相手はもちろん土方なのだろうし、この素早い行動力の全ては彼に対する嫌がらせのため。
その行動力が仕事面に出てくれれば部下からの信頼も厚いだろうに、なんて考えるだけ無駄なこと。
沖田は今が楽しければいいのだ。
たとえ後先にどんなことが起ころうとも。
それが分かっていても巻き込まれるほうはたまったものじゃないと、心の中で罵詈雑言並べていた山崎だったが、あれ?とおかしなことに気が付いた。
「薬、飲ませたんですよね? ……副長、普通でしたね」
さきほど自分に会ったときの土方がいつも通りだったことを思い出し、山崎が首を傾げる。
それを隠れて見ていた沖田ももちろん気が付いていて、
「……紛い物だったんじゃねーのかぃ」
「そんなはずはないです。科学班にも提出して"そういう効果が出るはずだ"とお墨付きを貰っていたんで……」
「じゃあ、なんでいつもと変わりないんでぃ」
「……さあ……」
二人でその場に座り込み頭を捻っていたら、すぐ側に立った人の気配に気付くのが遅れた。
見張っていたはずの土方がいつの間にか戻ってきて、二人を険しい顔で見下ろしている。
「なにしてんだ」
「!!! あ、ああ、あのぅ、そのぅ……」
「総悟、てめーまた何かやったのか」
「……何言ってんですかぃ、どこにそんな証拠が……」
シラを切ろうとした沖田に、土方がすっと手を伸ばす。
小突かれるのかと身構えた沖田の頭にその手をぽすっと乗せると、土方は優しく撫で撫で。
「しょうがねーな、てめーは。イタズラも大概にしねーとみんなに怒られるからな」
「…………え……」
「……土方さん?」
「山崎、こいつも悪気……はあるけど、悪いヤツじゃねーんだ。勘弁してやってくれ」
「…………はい?」
苦笑しながら沖田を擁護する土方に、山崎は再び蒼白になり、沖田は納得顔。
そこにドタドタとうるさい足音を響かせて近藤が姿を見せると、
「おう、なんだ、おまえたち。集まって何を……」
「なんだじゃねぇ!!いっつもいっつも、あんたは何やってんだ!!」
「……え?トシ?」
「今日は大事な会議があるから時間まで帰ってこいって言っただろうが!!!なんでちゃんと時間どおりに行動できねーんだ!!副長だからってあんたの尻拭いばっかりさせられるのは御免なんだよ!!」
「す、すみません」
鬼の形相で土方が怒り出し、近藤はしょんぼりと肩を落とす。
そんな二人に見つからないようにこっそりその場を離れた沖田と山崎は、改めて事態を確認する。
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