原作設定(補完)

□その12
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万事屋へ帰る道を歩きながら、土方はチラリと銀時を見る。

いつもと変わらぬやる気のないだらしない顔をしているが、どういうつもりで家に呼んだのか、やっぱりそういうことを考えているのだろうか。

もやもやした気持ちで銀時の後に続いているが、万事屋に近づけば近づくほど変わる複雑な男心。

触れて欲しいと思っていたくせに、いざそうなるかと思うと及び腰になっていく。

『だ、大丈夫だよな……昼間だし……いきなり、最後まで……なんてことにはなんねーよな……そこまでの覚悟はまだできてねー…けど……やりてーかな、やっぱり……モテなそうだもんな、こいつ…』

そんな失礼なことを考えながら、思考が反れていることに気付いて頭を振り、銀時を見るとそこはもう万事屋の前だった。

「どーぞぉ」

「……じゃまする……」

もうすぐ7月になろうとしている季節のせいか、閉めきった部屋は生ぬるい空気が流れてきて、銀時は中に入るとまず窓を開ける。

「なんか飲む?」

「いい」

ついさっきコーヒーを飲んだばかりだったので、念のために聞いたがそう言われると思っていたのか、銀時はそのままソファに座ると、

「んじゃ、座れば」

隣を叩いて“ここに座るよう”土方を促した。

内心はドキドキしているのだが、負けず嫌いな性格のせいで顔には出せない。

なにくわぬ顔で土方が隣に座ると、銀時はその腕を掴んで手前に引き寄せた。

『えええっ、早速ぅぅ!?』

ぎゅ〜〜〜っと目を瞑った土方は、あれこれそれこれあんなこんなを走馬灯のように想像してしまったのが、何か様子がおかしい。

目を開けると、テーブルと向かいのソファが横向きに見えた。どうやら寝かされているらしいが、暖かいのは頭部だけ。

銀時の膝枕と、土方の頭を撫でる手。

「……なにしてんだ……」

「んー?どうせ疲れてんのに無理して出てきたんだろ。プラプラ遊んでたって疲れは取れねーからさ、ここで休んでいきなさいよ」

「大丈夫だって言っただろうが」

「ふ〜ん。じゃあ、15分。このまま起きてられたら、また出かけようぜ」

銀時の手のひらが土方の髪や肌に触れている。おまけに膝枕。

『こんな状況で寝れるわけねーだろうがぁぁ!!』

土方が再び目を固く閉じガチガチに緊張した身体から、力が完全に抜けたのは10分後。

寝息を立てているのを確認して、銀時は小さく笑う。

土方が頑張って平気そうな顔をしていても、歩き方が少し遅いとか、溜め息が多いとか、ぼんやりしていることがあるとか。

その原因の半分は“銀時に触れて貰えない”という萌え思想だったことはさすがに想像してないだろうが、“元気が無い、悩みがある”ということまで隠せるものじゃない。

熟睡していることをいいことに、銀時はペタペタと頬や唇に触れた。

こんなときじゃないと触らせてくれそうにないし、触れたとしても恥ずかしがったり嫌がられたりしたら……。

撫でられているが気になったのか、土方は自分の手でそれを動かないように押さえると、むにゃむにゃと再び熟睡。

もう土方がなにをやっても“可愛い”と思ってる銀時には限界は近かった。

『がはぁっ!!(吐血)いつまで我慢すりゃいいんですかねっ!?バーンってなりそうなんですけどっ、銀さんの銀さんが、バーンてなりそうなんですけどぉぉ!!!』

土方に気付かれないように悶絶する銀時の苦労も知らず、銀時とイチャイチャする楽しい夢を見る土方だった。






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書き直したら微妙に雰囲気が違ってしまった気がする。
しかも、“初チュー”をするための閑話だったはずなのに、結局してなくね!?
間違いなくしてません(笑)
書き直しながら軌道修正できないかと思ったのですが、無理でした。




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