明日の夢
□Story.1
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町が、壊れていく。
生まれてから19年間住んできた町が。
あぁ、悲鳴が聞こえる。
隠れていた戸棚の扉からそっと覗いた先には血塗れの家具、倒れている父と母。
私は覗くのをやめて、膝を抱えてずっと止まらない涙を流した。
――数時間前、この町に海賊が攻めてきた。
そこそこ大きく、栄えていた町はその海賊の標的となった。
リィシャの家は町でも有名な資産家で海賊たちは町だけでなく、リィシャの住む屋敷も狙ったのだった。
『絶対ここから出てきてはダメよ!』
『父さんと母さんが必ずお前を守るからな』
それが両親と交わした最後の会話だった...。