銀魂メイン

□愛と暴力とストックホルム
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「神威、ただいま」

神威がベッドの上で眠たそうにしゃがみこんでいたら、突然後ろから抱き締められ、ぞっとするような声でささやかれた。
神威はそっと振り返った。すると目に入ってきたのは愛しい愛しい恋人の沖田だった。

「総悟…お帰り!」
神威はにっこりと笑い首を傾げた。
その動作で首につながっていた首輪の鎖が揺れて、音を立てた。

「今日は神威にお土産を買ってきやしたぜ」
そう言って沖田は神居の首をきつく締め付けていた首輪を取り外した。

「?」
神威が不思議そうに瞬きをすると、また首に絞めつくような感覚が絡みついてきた。
新しい首輪だった。
でも今までと少し違い次は少し動くだけでリン、と涼しい音が鳴った。

洗面所の扉の隙間から見える鏡にうまく自分を映すと大きな鈴のついた可愛らしい首輪が見えた。


「わぁ…」
「かわいいでしょう?」
そう言って沖田は神威の頬を撫でた。

「うん…ありがと」

幸せだ。
大好きな総悟に、ご主人様に愛されてるから。
こういう甘いひと時も、暴力にいそしむ日々も。

大好きだ。

総悟が大好き。
ずっと。出会った時から。


え…?
出会った…?
…出会った時…。出会った、時…?
俺達って、いつ出会ったんだ?
いつから、付き合って、キスして…?


あれ?
記憶がない。
出会った記憶も、付き合い始めた記憶も…。
そして、自分自身何者なんだろうか…。
とても暗い所にいた気がする。



「…神威?」
沖田の声にハッとした。
心配そうに神威を見ている。

そんな顔を見ていたら、そんなことどうでもよくなった。

「何でもないよ。それよりおなかすいた」
早くご飯にしよう、と神威が笑うと沖田もつられるように笑った。


幸せなら、自分が誰とか、ここはどこだとか、関係ないや。





               完

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