novel-V
□囚われ姫
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ぐちゅり、ぐちゅ
ずっ…ぐちゅ・・・
嫌な音が耳に響いて離れなかった。
「ひぃん、…ぅぁっ…カ…ル様、ぁ…」
この声は誰のもの?
鼻にかかる様なこの甘い甘い声は?
「ふひひひ、可愛いのぉ…ツナヨシ。おじさまのモノはそんなにも美味しいのかい?」
何処かイントネーションがおかしい日本語
口の中いっぱいに広がる雄の味
あぁ、解った。
「ひゃん、あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ここは地獄だ。
【囚われ姫】
「君が沢田綱吉…いや、次期ボンゴレ10代目候補だね?」
それは丁度…そう、丁度。リボーンが居ない時に起こった。
いつもの様に学校に行き、家に戻ったのも束の間。
世界が暗転し、暗闇の中…腹部を殴られて気絶したのだと気付いたのは見知らぬ地に運ばれ…自らの腹部に残った痛々しい青痣を見てからだった。
見知らぬ部屋。
窓も無く…ただベッドしか存在していない様に見えるそこにはこれまた見知らぬ男が下品な笑みを浮かべてこちらを伺ってきている。
「なんともまぁ、愛らしいのぉ…あのボンゴレのめ。こんなにも愛らしい雛をワシに隠しおって」
ニタニタと笑う男が酷く汚らわしく思えたのは
そこに好意とも嫌悪とも言えない感情を汲み取ったからかもしれない
「今日からワシの事をカルマ様と呼びなさいツナヨシ。良い子にすれば痛い事は何もしないよ」
嘘だ。と、そう形作った唇は悲鳴でかき消された。
何が何だか解らない。
ただ、殴られ。
変なクスリを飲まされて
熱に浮かされた身体を好きな様に弄ばれて
気絶した後また、その何も無い部屋で目覚めた時にやっと
自分は誘拐され
拉致監禁。
そして、強姦されたのだと理解した。