短編
□気付かない想いの行く末
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「「鬼灯様」」
くいっ、と袖を引かれ下を見れば
黒髪と白髪の双子が私を見上げていた
座敷童子の一子と二子だ
彼女達が仕事中に話し掛けてくる事など殆ど無い
内心少し驚きながら、それを隠し私は
どうしました?と二人に声をかけた
「名前様、行方不明だから」
「鬼灯様、元気ない」
名前という名前に私の薬指に嵌まった
彼女との愛を誓う指輪が鈍く光る
「…心配してくれたのですか
ですが、私は大丈夫です
名前は、きっと帰って来ますよ」
サラサラとした柔らかな双子の髪を撫でれば
小さく顔を見合わせ、そう…と呟き、走っていく
その様子に息を吐き出し、私はまた次の裁判に
来る亡者の罪状が書かれた巻物に目を走らせた