短編
□僕の手は紅く濡れる
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__最初に君を見つけたのは僕だった
綺麗な真っ直ぐな瞳も、揺れる髪から香る匂いも
白い肌も、柔らかそうな身体も、細い手足も
最初に君を見つけて恋に落ちたのは僕だった
なのに、彼女の指についた指輪と同じ物が
僕の大嫌いなアイツの指にもあって。
それ、なぁに?と笑顔の仮面を貼り付けて尋ねれば一瞬で頬を真っ赤にし、俯きながらプロポーズされたんですなんて。
恥ずかしそうに。でも、何処か嬉しそうに呟いた君
僕の中で「何か」が壊れた音がした。
彼女を最初に見つけたのは僕だった。
彼女を最初に好きになったのも僕。
なら、君が選ぶのは僕のはずだよね?
その晩、僕の手が真っ赤に咲いた。