中編

□白の号哭
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――あの夏のある日の事を僕は忘れない

助けてくれた小さな手
傷口に巻いてくれたハンカチ


もうあの子の優しい匂いはしないけど
癖のようにハンカチで口元を覆う

あの日の事を忘れた事はない




「名前…」




キミが手当してくれた時、どれだけ嬉しかったか
小さな手で掬ってきてくれた水がどれ程冷たかったか





名前、僕どうやら
キミに恋しちゃったみたいだ


ああ、早く此方においで




(僕が愛してあげる)
(絶対離さない)
 

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