長い夢

□1話
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ついこの間この庭に越して来たばかりの私に無茶苦茶な仕事を与えてくるホークさんは、鬼畜以外の何者でもないと思う。


「くっそ、また…心材かよ」


イベントの合間を縫って森に通い詰め、庭には大量のコットンを植え、プラザの仲間にお水を沢山お願いして、漸くクッション付きの椅子を二脚完成させてまだ一時間も経っていない。

なんでまたこんな所で木を探ってるかって、そりゃあ鬼畜ホークさんにまたしても端材を使った仕事を与えられたからだ。


「君もよくやるよね〜口が悪くなってるぜ?」
「っ…暇なら手伝ってください」
「はいはい、じゃあ木くず12個と〜」


ジャックさんは辺りに散らばった木くずをひょいひょいと拾い上げて、私の手に斧数本を手渡した。


「道具を使いこなそうぜ♪」


このひょうひょうとした男は1ミリも手伝う気がないらしい。ちょっとイラッとした。
そして手渡された斧の重さの半端ない事。ちょっと待って、一回で木くず2個取れて木くず12個と斧1本交換だから…計算して若干許容量を越えかけていた事に気付いた。
ダメだ。気付いたら動けなくなった。

渡された斧3本全て投げ出して、木を背にズルズルと座り込んで空を見上げる。ため息勝手に出てしまう。疲れてる証拠だ。
花入れるプランター端材14だったけど…今何個?1、2……6…あー全然だった。ため息がもう一つ、零れ落ちた。


「しんどい?」
「…しんどい」
「諦めちゃえよ」


すぐ耳の側で聞こえた声は、いつもの軽いトーンじゃなくて。その声のトーンにピリッとした空気が広がる。
頭の中でぐるぐるとリピートされる。諦めろ、だって?
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