少年D
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満開に咲き誇る薄く色ずくそれを仰ぎ見る。いつかきっと枯れてしまうのに何の文句も言わずそれが使命かのように佇む木。
羨ましいと思う反面、自分は大地に根をはり花を満開に咲かす大木と言うよりいつ散るかわからない花びらではないかと少し笑った。
しかしこの花びら達とは違い、煽る風に、見る観客に、怯えて文句を垂らしているだろう。
もしかしたら、本当は、この花びら達も思っているかも入れない。
そんなことを言い出すとキリがないと分かっていたが考えずはいられなかった。
どうかどうか散らないで。
どうかどうか咲き続けて。
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