劣等感の革新

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山奥、男子高、全寮制、初等部から高等部まであるこの学園は超おぼちゃま校。
セキュリティは万全で庭の草花も美しい、中庭の噴水がまた見事でここの高等学校を選んで本当によかったと思う。



「…ーあ!大和様発見!」
「キャー!いつ見てもお美しい」
「ちょっ、そんなに押すと見えないでしょ!」



これさえなければ…。





―――――



「ごめんなさいっ!僕が不甲斐ないばっかりに、大和様のご休息をお守りできず・・っ!副隊長なのにっ!うぅっ」

鼻声まじりにされた謝罪はなんだか、こっちが悪いことをしたような気分にさせた。

「いや、大丈夫だよ。」

「いいえ!大和様はお優しいから気を使ってらっしゃるんですよ!隊長がいたときはこんなの起こらなかったはずですぅ!」


隊長さんがいたときも何度かあったよ?気にしてないのに・・


って言っても副隊長さん引き下がらないんだろうなぁ。
そもそも勝手に中庭でお昼を過ごしてたのは俺で、そこで俺のファンらしき人に見つかったのも自分の不注意なのに。しかも写真撮られるだけだったしね。



「あ、大和様ご安心を!写真がご心配なら大丈夫ですよ。ちゃんとしめてきましたから!写真消しといたし携帯も使えなくしときましたんで!」


え?何それ
副隊長さん超笑顔じゃん。
普通に怖くね?

携帯'も'って何、'も' って、携帯以外に何を使えなくしたの。



「あ、そっか怪我がないといいんだけど。」

やっべ、上手く笑えないや。頬ひきつっちゃってるよ。



キーンコーンカー…


この学園名物の時計台のベルがなった。
美しく響くこの音が耳に伝わるだけでふんわり暖かい気分になれるのだ。


「予鈴なっちゃいましたね!教室戻りましょうか」

「そうだね」

にっこりと微笑み、二人で教室に向かった。





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