LOVE ME DO!

□初恋
1ページ/2ページ






「いっらっしゃいませ、こんばんは」




深緑色の帽子を被って



白いシャツに赤い小さなリボンを着けて、



紺色のカーディガンを羽織った彼女が



目を細めて、



絶妙な角度に首を傾けて、




ニッコリと僕に言います。








「グッドイブニングです」










その笑顔がマニュアル通りの挨拶だと理解しながら、僕は毎回ドキッと胸が高鳴ります。








「今日は寒かったですね、雪降ってましたよー」





手の動きを止めないまま、彼女は僕をチラリと上目遣いで見ながらが言います。








「はい、昼過ぎには止みましたケド」









ぶっきらぼうに聞こえたでしょうか?











「寒いので風邪引かないでくださいね」









そい言った彼女からお釣りを受け取る時、





少しだけ手が触れて、





凄く、






酷く、






冷えきっていて。










そんなにも身体を冷やして、風邪を引いてしまいそうなのは貴方ではないですか?と





言いたい言葉を飲み込みました。







「ありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ」







ニッコリと。












どうやら僕は貴女に癒やされたくて





ここに通っているようです。

























初恋。












スーパーの定員さんに



ドキドキ胸を高鳴らせている事は誰にも秘密です。







─END─

→あとがき
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ