早夜の書庫

□倉持先輩の苦労
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俺は今、随分悩んでいる(というかイライラしている)。
なぜなら、同室の後輩・沢村とムカつくイケメン捕手の御幸がなぜか俺の部屋(5号室)でイチャこらしてるからだ。なぜ御幸がいるかというと昨日の夜、指先の手入れが難しくてめんどくさいと沢村がボヤいていたのをちゃんと手入れしてるか聞いてきた御幸にうっかり話してしまったからだ。
それなら、と御幸が沢村の手入れをすると言って部屋に乗りこんできたのだ。実に迷惑極まりない。御幸が来たときはうるさく拒否していた沢村だが、今は大人しく手入れされていた。

「お前ちゃんと手入れやってんの?」

「やってるよ!上手く出来ないだけで...」

「こらこら俺先輩ね?敬語忘れてんぞ。ったく、これからも俺がやってやるしかねーかなー」

「...えっ?!」

「あ?なんだよ、嫌なのか?」

「え、いや、そういう訳じゃないっすけど」

...何やら面倒くさそうなほうに向かっているようだ...。
こいつら俺がいること忘れてんじゃねぇだろうな?
そんなことを考えていたら手入れは終わったようで、沢村が走りに行こうとしていた。

「じゃあ俺、走ってくるんで」

「ダメ。もう今日は走るな。これ先輩命令だからな?」

それでも走りに行こうとする沢村だが、御幸に言いくるめられ、走りに行くのをやめていた。

「じゃあ、なにすればいいんすか?俺、何もすること無いんすけど」

「ん」

何をすればいいんだと聞いた沢村に御幸は自分の足の間をぽんぽんと叩いた。
それが何を意味するのか瞬時に悟った俺はもう限界で、すぐさま部屋を出た。
今日はもう部屋には入れないことを察知し、ゾノの部屋にでも邪魔しようかと考えた。
部屋を出るときはまだ御幸のしたことに意味がわからないといったふうにしていた後輩を哀れに思った倉持だった。



END





倉持先輩はあの2人が付き合ったりなんたりするにあたって、一番の苦労人だと思う。
でも、御幸も沢村も好きだから、それも我慢できるみたいな...。
お兄ちゃん倉持先輩ってほんとかっこいい。
こんなお兄ちゃんがいたらいいな、と思います。

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