千夜の書庫

□ムシブギョー集
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火「ふわぁ…」
今日も市中見回り組は朝からお勤めが入っている。火鉢は顔を洗いに部屋を出ると

「813.814.815…」
月島が毎日の素振り1000回をしていた。だが、何か違和感があった
(あら?月島何か違う??どこかしら?)
大きな声、大岩が刺さっている木刀、そして真っ黒いしっぽのような…と、そこまで見て気づいた。
(あ、髪が下ろされてる)
そういつもは白い小さなしめ縄で黒く長い髪をくくっているが今日は何故か下ろしてあった。
「あ、火鉢殿おはようございます!!」ガバチョ!!
「あ、おはよ。ねぇ何で髪おろしてるの?」
月島は一瞬キョトンとして、あぁと頷いた。
「お恥ずかしながら先日の蟲に切られてしまって…」
先日の蟲それは大カマキリだった。その時子供をかばって背中を切られそうになった、おそらくその時だろう。
「じゃあ暫くはそのままなの?」
「はい自分はあれしか持っていませんので」
「そうね…私の紐でいいなら貸すわよ?」
「いいのですか!?」
火鉢はそのままだと邪魔でしょ?と言うと自分の部屋に戻って行った。


しばらくして火鉢が戻ってきた。
「これなんだけど…」
火鉢が持ってきたのは月島の着物に似た赤色の紐だった。
「おお!!ありがとうございます!!」
「くくってあげるから後ろ向きなさい」
「はい!」
(うわぁ…月島の髪サラッサラ…どんな手入れしてるのかしら?あ、そうだ)
「ねえ?月島」
「はい、なんでしょう?」
「たまには違う髪型にしてみない?例えばこんなのとか!」
「へ?ちょっ火鉢殿??」
火鉢が見せた手鏡を覗くと髪がおさげにしてくくってあった。
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