短編
□アツアツお鍋♪
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土方さんの場合‥。
夜7時頃。
高層マンションの台所からコトコトとお鍋の優しい音が響く。
『今日は、歳三さん。
定時で帰られるって、言ってたよね。』
リビングの時計を見ながら、ダンナ様のことを考える。
職場の上司だった歳三さんと結婚して、もうすぐ1年。
桜の花が満開の中、みんなに祝福されて とても幸せだった。
ガチャ!
「今、帰った。」
『お帰りなさい。
外は寒かったでしょう。ご飯の準備出来てますよ!』
「あぁ、すまねえな。
だが、ご飯の前に‥‥。」
チュッ。唇にkiss。
【朝晩は、kissで送り出迎えるべし。】
これは、結婚してから歳三さんが決めたルール。
職場では、鬼部長と呼ばれているのに、家に帰ると甘くなるの。
わたしだけに見せてくれる姿に初めは、ドキドキしちゃっていたな。
「何、にやついてんだよ。」
ジャケットをソファーにかけながら、不満げにつぶやく。
『別に。
なんでもないよ。
ほら、早く座ってお料理が冷めますよ♪』
歳三さんの背中を軽く押しながら、テーブルへと向かう。
ちなみに、今夜のメインは‥。
「お!
ロールキャベツか‥。
舞桜が作るこれ、美味いんだよな。」
『今日は、冷えたから温かいものを食べてもらいたかったんです。
どうぞ、召し上がれ!』
舞桜特製のチーズ入りトマトロールキャベツ。
疲れて帰ってくる歳三さんに美味しいものを食べてもらいたくて、ネットで調べて覚えたの。
それを何度も研究して、今では土方家の煮込み料理として定着した。
「舞桜、今度の週末、一泊で温泉旅行に行かねーか?近藤さんから、いい宿 紹介してもらったんだが。」
『温泉!!
嬉しい。ちょうど、行きたかったんです。』
あなたと過ごすこの時間が、かけがえのない幸せ☆