短編
□不器用な彼の優しさ
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雨、雨、ふれふれ母さんが蛇の目でお迎え 嬉しいな♪
未来でのお気に入り桜模様のカラフルな傘をさして雨でも、気にせず外出中のわたし。
というか、会合中のちー様から 迎えに来いと呼び出しが来たのですよ。
『もうそんなに酷くないんだから、さっさと帰ってきたらいいのにさ!』
なんて、言いながらも、本当は嬉しかったり。
だって、わたし達 お付き合いしている身。
でも、ちー様は、西の鬼の頭領さまでしょう!?
いろいろとやることがたくさんあるみたいで‥‥。最近、すれ違いばっかりだったから。
指定された場所に向かうとちー様は、「遅い。」の一言。
『少しは、ほめてくれてもいいじゃないの。
可愛い恋仲が雨の中、お迎えに来てくれたのに!』
ちょっとだけ拗ねてみせる。
どんな反応を見せてくれる?
「時間がない。早くいくぞ。」
わたしの頭をポンと叩いて、先に行く彼。
ちー様が桜模様の可愛い傘を広げる。不似合いなのが笑えてくる。
雨の日は、1つの傘をさして相合い傘で歩くことが2人のルール。
さっきの遅いの言葉もわたしを心配してくれたから。
本当に素直じゃないんだから‥‥。
彼の横顔をチラッと盗みみていたら、「何を考えている。」と正面を見据えてつぶやかれた。
『フフッ。別に何でもない♪このまま、帰るんでしょう?』
「いや、寄るところがある。」
『え?そうなの。』
会合帰りに寄り道なんて珍しい。
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