短編

□雨の日でも‥
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『あーぁ、やっぱり雨が降ってきちゃった。』


窓から外の景色を眺める。


『‥‥キミ、頑張ってくれなかったの!?』


舞桜は、カーテンレールに吊している、照る照る坊主を恨めしげに指でつつく。


「そう、悲しまなくて良い。たまには、雨も降るだろう。」


はじめさんがキッチンで朝食後の食器の片付けをしながら、声をかける。


『でも、はじめさん。
こんな朝から雨が降っていたら、せっかくの桜の花が散ってしまうじゃない!』


先週末に行ったお花見デートを思いだす。

デートといっても近所で、一緒に作ったお弁当を桜を愛でながら食べ、ノンビリと春の木漏れ日の下、会話を楽しんだ。

城内のお濠一面に植えられた桜は、あの時から満開に近かった。


でも、今日の雨で、終わってしまうかもしれない。


舞桜は、それが心残りなのだ。



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