異国の日常:第2章

□第1話
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「……これは酷い」
私は目の前に広がる光景に思わず呟く。
そこにあるのは、更地になった庭。粉砕されたティーセット。黒コゲになった食材。
犯人はすぐに分かった。というかこの3人しかいない。
「雑草を抜いた後除草剤をまこうとしたらフタがあいてて!!」
庭師のフィニアン、通称フィニ。

「お客様用のティーセット出しておこうとしたら転んで台車に…」
家女中のメイリン

「だってよぉ生肉が置いてあったから焼いてやろうと思って…」
料理長のバルド


セバス曰く三馬鹿の仕業で間違いはなかった。
頑張っているのは認めるのだけれど、もう少し注意をしてもらい。
もう一年以上は働いているのだから。

「それはさっきも聞きましたよ!」
「「「ご、ごめんなさ〜い」」」

それにしても、セバスのご立腹具合が高い。
何かあるの?

私は説教しているセバスの横からこっそり抜け出し、隅でお茶を飲んでいる家令のタナカさんに問いかけた。

「何かあるんですか?」
「ほっほっほ。6時にクラウス様がお見えになるようで」
「一大事じゃないですか!!」

それは完璧なこいつが慌てるはずだ。
ご到着までせいぜい2時間弱。
どうする?
言っておくが、私にいい案を期待しないでいただきたい。私は所詮イーストエンド育ち。一流のおもてなしなんか分かりはしない。命じられたらどんなこともやるけれど。

ジッとセバスを見ていると、何かを思いついたのか目をカッと見開いてタナカさんの方を見た。
そしてパンパンと手を叩いた。

「お静かに皆さん。これから私の言うことをよく聞いて直ぐに行動して下さい。コレで何とかします」

………湯のみでどうしよっていうのよ
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