異国の日常

□第5話
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「ここか」

着いたのはイーストエンドの裏路地。
どうして奴がこんな危ない道を通るのかなんて知らないけれど、人に見られにくいからこちらとしては好都合だ。


「そろそろ来る……。」

私は闇の中の一点を見つめる

……来た!!


写真と同一人物。
アルロ・ベラルディ本人だ。


私の中でスイッチの入る音がする。

「ターゲット確認。依頼を遂行する。」



私は髪を娼婦のそれっぽく結ってベラルディに近づく。
服装も服装だから気づかれないだろう。

「あの…。お兄さん、ちょっといいですか?」
声色を少し弱々しくした。
「ん?可愛らしいbambina (女の子)が何か用かい?」
女の子と言われたのは置いておいて、テイカーの言うとおり、かなりの女好きのようだ。
酒も入っているし、油断さえ無ければ問題ない。
「ええっと……。アルロ・ベラルディ様ですよね?私、ずっとあなた様とお話ししてみたかったんです」


「へぇー……。そうなんだ」
私は隠していた刀の柄をつかむ。

「ええ。よければ私とお話ししてくださいませんか?…っ!?」





まずい。
ばれたかもしれない。
ベラルディの手が腰の銃に伸びている。

「いいよ」
「!ありがとうございます。ベラルディ様」
「あぁただしお話しするのは……こいつだけどなぁ!!」
(バァン!!
(カンッ!!



ベラルディの銃が火を吹く。
それを刀で弾く。


「やっぱり…掃除屋(殺し屋)か」
ベラルディが吐き捨てるように言う。
「誰の依頼だ?今言えばお前の容姿に免じて助けてやるぞ?」

全くこれだからマフィアは…
「主を売るなんて馬鹿な真似……するわけがないだろう?」
挑発するように言う。
「この…。ぶっ殺してやる!!」


「それは…こちらのセリフだ!!」


刀と銃弾が交わる音が響く。
チッ、しぶとい。

流石はマフィアの幹部ってとこかな
けど負ける訳にはいかない。
九重家の名にかけても、ファントムハイヴの名にかけても。



暫く続いた攻防戦は気づけばあっさりと決着がついた。
「くそっ!」
「酒のせいだろうね。…恨むなら私の主に目をつけられた自分の行いを恨め」
「俺がなにしたって言うんだ!!」
「無駄口はいらない。さようなら」

刀を振り下ろす。
飛び散る鮮血。
私はまた一人分の命を背負った。


「はぁー。終わった…。」

家に執事服を取りに行ってさっさと帰ろう。



その時だった。








「随分派手にやらかしたねぇ。」
独特の匂いとともに声がした。
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